2016年3月2日発表
「アメリカ整形外科学会(AAOS)は、手根管症候群の診断に多面的アプローチを推奨する」
AAOS recommends a multi-faceted approach to diagnosing carpal tunnel syndrome
アメリカ整形外科学会(AAOS)が2016年3月2日に「手根管症候群に対する診療ガイなドライン」を発表しましたが、その内容に驚愕しました。
以下、引用。
手根管症候群(CTS)の治療では、ガイドラインはスプリント、経口ステロイドとステロイド注射、ケトプロフェン・フォノフォレーシス・ゲルと磁気療法を推奨している。
私は10年以上、磁気療法を研究してきました。
理由は、奇経治療でテスターとしてプラス磁石とマイナス磁石が使われており、プラスとマイナスに磁化されたMP鍼も奇経治療で使われてきたからです。
しかし、すごく長い時間、マジメに磁気療法を研究しているのですが、科学的根拠はないです。
それが2016年3月のアメリカ整形外科学会で、手根管症候群の治療法としてガイドラインで推奨されるなんて、想像の外過ぎて本当にびっくりしました。
早速、アメリカ整形外科学会の「手根管症候群に対する診療ガイドライン」を読んで見たら、まさかの全982ページです。しかし、10年来の知りたかったことが書いてある以上、読みました…。
「手根管症候群に対する診療ガイドライン」の408ページに磁気療法のエビデンスを発見しました。確かにマグネット・セラピーは「ストロング・エビデンス」と書かれていました!
さらに根拠になっている論文を検索しました。
以下は2010年のオレゴン州のナチュラル・メディスンの大学の研究者のコルバートさんの論文です。使った磁石の写真まであり、偶然でしょうが大陵あたりに貼っています。
「手根管症候群への静的磁場療法」
Static magnetic field therapy for carpal tunnel syndrome: a feasibility study.
Colbert AP,et al.
Arch Phys Med Rehabil. 2010 Jul;91(7):1098-104.
2008年にはニューヨーク・メディカル・カレッジでランダム化比較試験まで行われています。この論文も使った磁石の写真があります。偶然でしょうが内関あたりに貼っています。
「手根管症候群へのスタティックそしてダイナミック・マグネティック・フィールドの組み合わせ効果のランダム化比較試験」
A randomized controlled trial of the effects of a combination of static and dynamic magnetic fields on carpal tunnel syndrome.
Weintraub MI,et al.
Pain Med. 2008 Jul-Aug;9(5):493-504.
感動しました。
日本神経治療学会は「標準的神経治療:手根管症候群 2008年」というガイドラインを出版していますが、もちろんその中で磁気療法は触れられてもいません。
2008年にアメリカ整形外科学会が「手根管症候群に対する診療ガイドライン」を発表した年に、日本でもこのガイドラインが発表がされました。
次に日本で手根管症候群のガイドラインが出版されるのが楽しみですが、今までの代替医療の扱いから言って、磁気療法は「なかったこと」にされるのではないかと思います。
【付録:磁石と東洋医学と人体】
磁場や磁石は東洋医学と関係が深いです。
磁石は中医薬でもあります。
また、ツボに磁石を張る治療法は昔からあります。
磁気鍼は井上恵理先生や「安保=福田理論」の福田稔先生など、多くの先生が利用しています。医師の中川恭一先生は鍼灸師らと「日本磁気医学会」を作り、多くの研究をされました。
ピップエレキバンやヘルストロンのような磁気療法もふくめて、実は磁気が人体にどのように影響しているかは全くわかっていません。
「磁気針の臨床応用」(日本語)
『全日本鍼灸学会雑誌』Vol. 31 (1981-1982) No. 3 P 298-308
「日本磁気医学会」(日本語)
http://jikiigaku.com/
「人体と磁気」(日本語)
中川 恭一
『日本温泉気候物理医学会雑誌』
Vol. 54 (1990-1991) No. 1 P 13-16
核磁気共鳴イメージング(MRI)が実現して以来、生物と磁気の関係は磁界方向性などでさらに注目を集めています。
「生物に関連する磁界効果と医療応用」(日本語)
上野 照剛, 岩坂 正和
『電気学会論文誌. A, 基礎・材料・共通部門誌』
Vol. 120 (2000) No. 4
例えば、現在「直流電気鍼が骨・腱・神経の再生を促す」という日本の研究が2015年の『英国医師会雑誌』にも紹介されていますが、直流電気鍼の陰極(マイナス)で骨や腱や神経の再生が促されます。
これらは、電磁気の磁界方向性による可能性もあります。
電気鍼をすると、陰極側に細胞再生を促す線維芽細胞や骨芽細胞などが寄ってくるようです。細菌では磁気によって一定の方向によってくる「磁性細菌」が既に確認されていますし、渡り鳥などの渡り行動、地磁気の影響を受けていることは既に確認されています。
2014年の『ネーチャー』では、AMラジオ波や電子機器からの電磁波が渡り鳥の渡り行動に影響を与えることが報告されています。
コメント