インド・シッダ医学の「穴性」理論

 

 

「ヴァルマ・カライ 最凶の武術」
Varma Kalai – The Deadliest Martial Art

インド南部のシッダ医学に、インドの伝統武術カラリパヤットのツボ「マルマ」=「ヴァルマ・カライ」を使った武術と医術があります。

以下、引用。

 

タミル語の名前は「ヴァルマ・カライ」で「生命ポイント」の意味である。

ヴァルマ・カライは4タイプに分けられる。ソドゥ・ヴァルマンの「ソドゥ」は触れることを意味し、身体には96の触れると引き金を引かれるポイントがある。これは致命的ではなく、犠牲者に組織の動きや機能の障害を負わせる。

パドゥ・ヴァルマンは身体の12のポイントで死や深刻な影響を犠牲者に与える。

シッダ医学によれば、人体への治療ではヴァイッディヤ・ムライと呼ばれ、64ポイントはヴァータ(風)、24ポイントはピッタ(火)、6ポイントはカファ(水)と関連しているとされる。

 

インド武術「カラリパヤット」にはマルマというツボがあり、これはシッダ医学のヴァルマ・カライと共通しています。
上記の記述は、中医学の「風の穴性(風池・風府・風門)」や「血の穴性(膈兪・血海・三陰交)」という発想にものすごく似ています。インド伝統医学の穴性理論です。

 

もう一つの特徴として、治療家であるヴァイッディヤたちは脈診と触診で「ドーシャ」と「ナーディ(脈管)」を診断するということです。

また、マルマ(ツボ)を触診して、そこで毒素が溜まっていると病気になると考えます。手の感覚を重視し、マルマを直接刺激して治療するようです。

インドののケララ州やタミル・ナドウ州にはインド伝統武術、カラリパヤットが残っており、カラリパヤット医学のプラクティショナーであるヴァイッディヤと呼ばれる人たちが、マルマをマッサージして治療しているようです。

以下は、1957年に世界最初に記録された、マルマの記録のPDFファイルです。

http://www.christian-reincarnation.com/PDF/Marma.pdf

 

タミル・ナドゥ州やケララ州などのタミル文化圏に住むタミル人(ドラヴィダ人)は、インダス文明を担った元々のインド原住民です。紀元前1500年頃にイランから侵入してきたサンスクリット語を話すインド=ヨーロッパ語族、いわゆるアーリア人、がインド大陸を支配しても南インドに残りました。

タミル・ナドゥ州に住むタミル語族は、サンスクリット語の影響をほとんど受けていません。そして、サンスクリット文学よりも古くて繊細なタミル文学の歴史を持っています。

文化的にも、例えば、崇山少林寺に来た菩提達磨やヒンドゥー哲学のジャンカラはタミル人です。数学や天文学にはケララ学派があり、中世のインド数学・天文学の中心はケララ州です。この伝統は続いており、数学者のラマヌジャンやノーベル物理学賞のチャンドラセカールはタミル出身です。経済力も強く、ドバイに住んでいるインド人富裕層のほとんどはタミル人です。

達磨さんが中国に行ったように、タミル文化圏の人たちは貿易と移住が好きで、経済的にも栄えて来ました。タミル語はシンガポールとマレーシアの公用語で、タミル語人口7000万人というのは韓国語やイタリア語よりも多いです。

タミル・ナドゥ州やケララ州のタミル人たちはサンスクリット文化の人たちよりも古いインド原住民であり、独自の文化を保ち、その人たちの門外不出の伝統医学がシッダ医学です。外国人で2014年に初めてシッダ医学の大学を卒業した斎藤あゆみさんは「シッダ医学は不適切な人に伝えるなと最初に教えられた」と言っています。また、徒弟制度なのでシッダ医学は衰えているそうです。

 

「ケララ州はアーユルヴェーダ発生の地」と言われますが、ここにあるのはタミル人の医学のシッダ医学とカラリパヤットです。そして、南インドのタミル王朝の王子、達磨がカラリパヤットと禅仏教を中国に持ち込み、気功の易筋経を開発しました。

以下は中国の少林寺のホームページです。

Yi Jin Jing and Xi Sui Jing(易筋経と洗髄経)

以下、引用。

 

易筋経と洗髄経は伝説の達磨大師の不及の古典であり、崇山少林寺の宝である。

達磨大師の易筋経は筋肉と腱を強くするための運動であり、強さ、柔軟性、スピード、スタミナを強化し、身体のバランスを調整する。この運動は少林寺では身体コンディショニングの鍵となる要素として特筆されている。

易筋経はヨガとインドの古代武術カラリパヤットの混合である。

 

 

 

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