2011年
「アレルギー性鼻炎の熱敏灸療法の臨床効果の観察」
热敏灸治疗过敏性鼻炎的临床疗效观察
陳日新et al.
江西中医药2011年1月第1期42巻第337期59−60p
アレルギー性鼻炎は中国語で過敏性鼻炎です。江西省の江西中医学院の陳日新教授による研究では、アレルギー性鼻炎患者60人を30人ずつに分けて熱敏灸と標準鍼治療に分けて比較しました。
標準鍼治療は上印堂、迎香、大椎、風府、風池、肺兪、合谷へ置鍼30分。熱敏灸は上印堂、風池、肺兪への熱敏灸です。結果として、標準鍼治療は有効率43.3%でしたが、熱敏灸は有効率83.3%でした。同じツボを使っていても、灸で響かせる熱敏灸の効果が高いという結果は個人的経験からは納得です。
しかし、灸で響かせるには多くの技術的なコツがあります。日本の鍼灸臨床に来られるアレルギー性鼻炎(花粉症)の患者さんは、水様の透明な鼻水やクシャミなどの寒証が多く、頭部の百会周辺もブヨブヨと浮腫があり、湿の要素があり、灸が奏功する印象があります。
標準的な中医学鍼灸の弁証論治では、外因として風寒型・風熱型、臓腑では肺・脾・腎で分類するというものが多いです。
2009年
「アレルギー性鼻炎の中医弁証論治」
过敏性鼻炎的中医辨证论治
光明中医2009年4月24巻第4期
この標準的な弁証論治モデルには不満があります。まず、花粉症などのアレルギー性鼻炎に外感の風寒や風熱があるのは否定できません。「カゼをひいてから花粉症になった」という方は多いです。しかし、明確な外感病(カゼ)の症候が無い人のほうが多く、しかも寒熱の鑑別は難しいです。クシャミや水様の透明な鼻水など明らかな寒証なのに、やや数脈で舌尖紅で舌に点刺があることなど、しょっちゅうです。寒熱が入り混じっています。
もともと日本漢方で花粉症アレルギー性鼻炎に用いられて著効している小青龍湯は「心下の水気」「水飲」、「痰飲」の「溢飲(いついん)」の処方です。つまり花粉症やアレルギー性鼻炎の患者さんは体内にもともと「痰」や「水飲」を持っています。
この体内の「痰飲」「水飲」を鍼灸ではどうやって解消していくかという問題があります。しかも、アレルギー性鼻炎の患者さんは寒がりなど「内寒」や「内熱」もあります。過敏で繊細な感受性の方も多いです。
スモークレス棒灸で響かせる灸の得気の治療はこれらの問題を解決して、アレルギー性鼻炎の治療が得意になります。
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