2017年10月『ボディワークとムーブメントセラピーの雑誌』
「トリガーポイント鍼における『ローカル・トウィッチ・レスポンス(LTR)』:それは、臨床的結果に必要なのか?」
The local twitch response during trigger point dry needling: Is it necessary for successful outcomes?
Perreault T et al.
J Bodyw Mov Ther. 2017 Oct;21(4):940-947. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.03.008. Epub 2017 Mar 7.
私は筋骨格系疾患の多くは経筋病と見なして「痛をもって輸となす」の原則から阿是穴、トリガーポイント療法を使います。
トリガーポイントの世界では、鍼を刺して雀啄をしていると筋肉が急にビクンと収縮する局所性単収縮(LTR:local twitch response:ローカル・トウィッチ・レスポンス)という現象があり、LTRを起こさないと効かないというドグマが存在したため、技術的に未熟なアメリカの理学療法士たちは長く太い鍼を雀啄し、出血や気胸を起こしていました。
これは現代中国の中医薬大学の鍼灸が鍼麻酔の影響で得気を酸、脹、重、鈍、麻と解釈して、電撃響きで刺鍼して、中国の患者さんに鍼の人気がなくなっているのとよく似た現象で、鍼灸初心者がよくやる間違いだと思います。
例えば、イギリスのトリガーポイント鍼を代表するピーター・バルドリー先生は「私の患者の90パーセントは筋筋膜痛で筋膜トリガーポイントがあり、浅いドライニードリングで治療される。ほぼ10パーセントは筋膜トリガーポイントに加えて神経根の圧迫の痛みがある。これらは深いドライニードリングで治療される」と書かれていました。
ピーター・バルドリー著『トリガーポイント鍼療法』(医道の日本社1996)は名著だと思います。
ピーター・バルドリー先生は斜角筋の刺鍼の際に浅く刺すことで十分効果が出たため、LTRを出さずに9割を浅く刺されていました。バルドリー先生は1980年代にイギリスの鍼のパイオニアとなり、イギリス鍼協会の会長となり、84歳で鍼の本を出版し、94歳まで臨床を続けて2016年に95歳で亡くなりました
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