「狭心症の針治療ー内関を中心として」
岡 孝和 et al.『日本東洋医学雑誌』1987 年 38 巻 2 号 p. 85-90
https://www.jstage.jst.go.jp/…/k…/38/2/38_2_85/_pdf/-char/ja
(全文無料オープンアクセスPDFファイル)
以下、引用。
虚血性心疾患に対する針治療はその有効性が報告されており、 特に内関は頻用される経穴であるがその作用機序に関しては不明な点が多い。今回われわれは虚血性心疾患で心臓カテーテル検査を行った患者に内関に針刺激を施し冠動脈径に与える影響をみた。その結果、内関は冠動脈拡張作用があることが確められたがIsosorbide dinitrate のそれより弱かった。ところが、亜硝酸剤を含む薬物療法でコントロールが難しかった患者が内関を中心とした針治療により胸痛発作が消失した。このことより針治療は自律神経のアンバランスを是正する働きがあることが推測された。内関に関して現在生理学的に明らかにされていることを含めて文献的考察を行い報告した。
心臓冠動脈への内関の拡張作用について示唆に富む論文だと思います。
2019年2月16日に北京中医薬大学が発表した「心臓冠動脈による狭心症への付加的治療としての鍼:メタアナリシス」も良い論文です。
2019年2月16日北京中医薬大学
「心臓冠動脈による狭心症への付加的治療としての鍼:メタアナリシス」
Acupuncture as an Adjunctive Treatment for Angina Due to Coronary Artery Disease: A Meta-Analysis
Xiaolou Huang
Med Sci Monit. 2019; 25: 1263–1274.
Published online 2019 Feb 16. doi: 10.12659/MSM.913379
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6390455/
(全文オープンアクセス)
【結論】このメタアナリシスは冠動脈による狭心症患者への補助的治療として鍼はポジティブな治療として支持できる。
2015年4月には遼寧省瀋陽の遼寧中医薬大学付属病院がメタアナリシスを発表しています。
2015年4月「安定狭心症の鍼治療のメタ・アナリシス」
Meta-analysis of acupuncture therapy for the treatment of stable angina pectoris
Ze Zhang,et al.
Int J Clin Exp Med. 2015; 8(4): 5112–5120.Published online 2015 Apr 15.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4483941/
2015年3月には遼寧中医薬大学付属病院がシステマティックレビューを発表しています。
2015年3月「狭心症への鍼の効果:ランダム化比較試験のシステマティックレビュー」
Effectiveness of acupuncture for angina pectoris: a systematic review of randomized controlled trials.
Yu C,et al.BMC Complement Altern Med. 2015 Mar 28;15:90. doi: 10.1186/s12906-015-0586-7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4426772/
中国語圏の研究では以下が面白かったです。
2015年「心臓冠動脈の狭心症の鍼灸治療の古代文献の研究」
针灸治疗冠心病心绞痛(胸痹心痛)的古代文献研究
洪丽芬 《广州中医药大学》 2015年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-1015369064.htm
まず、狭心症の表現として心痛、胸痺、卒心痛、九種心痛、厥心痛、真心痛などがあります。
唐代の『千金翼方』では足少陰腎経の湧泉の鍼です。これは鍼灸古典を調べるモチベーションが久しぶりに出てきました。
ツボとしては心経や心包経はもちろんですが任脈の腹部のツボがよく使われ、また足の三陰経が使われているというのが勉強になりました。督脈も長強や筋縮です。
多取任脉穴胸痹心痛多兼有腹痛、胃痛等脾胃症状,任脉循行于胸腹正中,与心、胃等脏腑密切相连,故古代医家治疗胸痹心痛亦常使用任脉的穴位,任脉中最常用的穴位为中脘,使用频次为65次,占总频次的7.45%,其次为上脘、巨阙、膻中等。2.2.3常选用足三阴经穴足三阴经起于足,上抵于胸,故胸痹心痛与三阴经的关系密切,如足少阴脉上贯肝膈入肺中,其支者,从肺出络心注胸中。肾经常用穴涌泉、太溪,肺经中的太渊、尺泽、经渠、鱼际,肝经常用大敦、行间、章门、太冲,均为古代中医治疗胸痹心痛的常用穴位。2.2.4其他经常用穴位古代医家治疗胸痹心痛,亦常用其他经的穴位,如膀胱经常用穴心俞、京骨、足通谷、厥阴俞等穴位;胆经常选用足临泣、侠白;脾经常选用大都、太白等穴位;三焦经常选用天井、支沟;胃经穴位常用不容、足三里,但使用频次相对较少。同时,经外奇穴常用中泉、脐旁、独阴等经外奇穴;督脉穴中有使用长强、筋缩、至阳;大肠经的合谷、阳溪、曲池,小肠经治疗胸痹心痛,常用的穴位为后溪、肩中俞,但这些穴位使用频次相对较少。
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