2013年「漢方薬を利用した抗ウイルス薬開発の展望」
白木 公康
『ファルマシア』2013 年 49 巻 11 号 p. 1101-1105
https://www.jstage.jst.go.jp/…/49_KJ00010…/_article/-char/ja
論文著者の白木公康先生はウイルス学者として抗インフルエンザ薬、アビガンの開発に関わられたことでも有名です。上記論文では葛根湯の風邪の予防や初期作用について書かれています。
葛根湯は気道上皮ではインターロイキン12の産生を高め、インターフェロンγの産生を高めて局所防御を強めて肺炎を限局・軽症化し、全身のサイトカイン過剰を抑制します。葛根湯は「まわりの誰かが風邪をひいたときに飲む薬」なのです。私は40歳以上で慢性気管支炎の病歴があるというハイリスク・グループなので昨日から葛根湯を飲んでいます。
「現代西洋医学からみた東洋医学(5)インフルエンザ治療のための漢方薬の作用機構–葛根湯の作用機序」
白木公康『医学のあゆみ』 202(6・7), 414-418, 2002-08-17
https://ci.nii.ac.jp/naid/40005409331
「葛根湯に含まれるシンナミル関連化合物のサイトカイン産生調節機序の解析 : 炎症 (2)」
白木公康 et a.
『和漢医薬学雑誌』 17(supplement), 38, 2000
https://ci.nii.ac.jp/naid/110001867695
SARSやMERSなどのコロナウイルスは全身のサイトカイン過剰を起こして肺損傷を引き起こします。
2017年「病原性ヒト・コロナウイルス感染症:原因とサイトカイン・ストームの結果と免疫病理学」
Pathogenic human coronavirus infections: causes and consequences of cytokine storm and immunopathology.
Channappanavar R1, Perlman S2.
Semin Immunopathol. 2017 Jul;39(5):529-539. doi: 10.1007/s00281-017-0629-x. Epub 2017 May 2.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28466096
※SARSやMERSのような高病原性ヒト・コロナウイルスは下気道感染を起こして致命的な肺炎を起こす。病原性ヒト・コロナウイルスによて引き起こされる深刻な肺炎は、多くの場合、急速なウイルスの複製と大規模な炎症細胞の浸潤、炎症性サイトカイン反応の上昇に関連して急性肺損傷および急性呼吸促迫症候群(ARDS)を引き起こす。
コロナウイルスによるSARSの治療法を調べていたら、中国ではSARSの回復期に大椎(GV14)、膏肓(BL43)、足三里(ST36)などの灸の治療をおこなっていました。
2003年
「艾灸によるSARS回復期9例の治療の臨床観察」
艾灸治疗SARS恢复期9例临床观察
赵宏 李以松 刘兵 李军 王石 花宝金 田丛豁
《中国针灸》 2003年09期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZGZE200309038.htm
※用艾灸大椎、膏肓俞、足三里穴并配合中西药物治疗 ,
※结果 :艾灸治疗后 ,低热、胸闷、乏力、头身酸痛、胸腹胀痛、纳呆、便秘等症状明显改善
個人的には、インフルエンザやかぜ症候群などのウイルス感染症の回復期こそが鍼灸の出番だと思っているので納得です。
コメント