オーストラリアにおける数理疫学と公衆衛生学の溝

 

2020年3月31日、オーストラリアの新聞『オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー』にメルボルン大学の疫学者・公衆疫学の教授であるトニー・ブレイクリー教授による以下の記事が載りました。

2020年3月31日『オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)』
「ウイルス・データをより急いで公衆に明示すべきである」
The public urgently needs more clarity on virus data

 

以下、引用。

オーストラリアは世界で最高の感染疫学・数理モデラ―が何人もいる。納税者は莫大な研究資金を投資している。しかし、まだオーストラリアの納税者は深刻なCOVID-19パンデミックについて説明を受けていない。

オーストラリアの昨年できたばかりのパンデミック計画のコミュニケーション原則はオープンネスと透明性である。公衆衛生エキスパートは仲間外れであり、オープンネスと透明性は全くない。

何がおこっているのか。契約には機密条項があり、政府は情報をコントロールしている。オーストラリア国民はストレートに何が起こっているのかを説明されていない。疫学者やわたしのような公衆衛生学者がわざわざ説明書を書くことはない。(数理疫学モデラ―が直接、国民に説明すべきである)。

われわれは経済学者と哲学者を必要としている。パンデミックをマネージメントする異なるシナリオの社会的コストがどのようになるのか。われわれは社会と経済における避けられない影響と命を救うことのトレード・オフ関係についてオープンなディスカッションを必要としている。

 

 

メルボルン大学の公衆衛生学専門のトニー・ブレイクリー教授による「数理疫学モデラ―はスーパーコンピューターを使った社会的距離モデルについて計算を納税者に説明すべきである」
「ロックダウンなどの社会的距離政策において、社会や経済における影響とのトレード・オフ関係について、経済学者や哲学者を含めた民主的でオープンな議論が必要である」という主張はまったく常識的だと思います。数学しか知らない数理疫学モデラ― や医療しか知らない医療従事者のみの意見だけでは社会経済的大惨事が起こる可能性が高いです。オープンネスと透明性が必要です。

 

 

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