マーガリンタブー

 

 

2016年1月28日『デイリーメール』「いかにして偉大なるバターの復活がマーガリンを殺しているのか」
How the great butter revival is killing margarine

 

以下、引用。

先週、フード・ジャイアントのユニリーバは売り上げがガタ落ちしたためにマーガリン生産を中止すると発表した。ユニ・リーバーはマーガリンの開発に成功し、バターの代わりに心臓に良いと何十年も推奨してきた。ユニリーバは1929年にイギリスの石けんメーカーのリーバー・ブラザーズと1872年から植物由来のスプレッドを売っているオランダのマーガリン・ユニが合併してできた。

 

1813年にフランス人化学者、ミシェル・ウジューヌ・シェブルールが真珠(Margarite:マルガリーテ)のように美しいマーガリン酸を発見しました。

1869年にフランスのナポレオン三世が軍用にバターの代用品、マーガリンを開発させました。オランダ商人が特許を購入してマーガリン・ユニ社を創業しました。この頃のマーガリンは動物性油である牛脂を用いたオレオマーガリンです。

1870年代に金属のニッケルと反応させて水素添加する硬化油を用いた合成マーガリンができました。オランダのマーガリン・ユニ社は、1929年にイギリスの石けんメーカー、リーバー・ブラザーズ社と合併してユニ・リーバー社となります。マーガリンは本来、真珠のように白かったのですが、バターに似せるために黄色の着色料を入れました。

ユニ・リーバーは世界最大の石けん会社として戦後のアメリカの昼のテレビドラマを提供し、それらの番組はソープ・オペラと呼ばれました。ユニリーバーはマーガリンを販売をしていましたが、多額の広告費でマスメディアを操作し、そのことで「マーガリン・タブー」を作りました。

 

第2次世界大戦時、牛脂不足から植物油からの合成マーガリンがバターの代用品として推奨されたのが現代のマーガリンの歴史です。マーガリンの歴史は軍需品の歴史なのです。
1953年頃、アンケル・キーズはコレステロール仮説を創っていました。マーガリンは軍需品ですが、アンケル・キーズも第二次世界大戦中にアメリカ軍の携帯食料、Kレーションの開発に関わりました。KレーションのKはキーズのKです。

 

マーガリンもKレーションも軍需品であり、アンケル・キーズは軍と関わりの深い医師でした。そして、アンケル・キーズはアイゼンハワー大統領の主治医にしてフラミンガム研究を統括した心臓専門医、ポール・ダッドリー・ホワイト医師と友人であり、ホワイト医師は「動物性脂肪をやめてマーガリンと植物油に代える」という当時の最新のサイエンスに基づくアンケル・キーズの食事療法を学んでいました。

 

1955年にアイゼンハワー大統領が心臓発作で倒れた時、主治医のホワイト医師はかけつけて、「ストレスを減らし、禁煙をすすめ、動物性脂肪を減らしてマーガリンと植物油を勧める」という処方をしました。これが世界中に報道されて「コレステロール仮説」と「マーガリンと植物油」が世界に広まりました。しかし、この時点ではまだアンケル・キーズの研究は論文として発表されていないのです。

 

さらに、世界一の食品会社で広告による情報操作を得意としたマーガリン・ユニのユニ・リーバー社とプロクター・アンド・ギャンブル、砂糖会社などが意図的にマーガリンと植物油を世界に広めました。

 

以下、引用。

1953年にアメリカの生理学者アンケル・キーズが6カ国の研究によって飽和脂肪酸と冠状動脈心臓病の間の関連を発見した。キーズの研究はヨーロッパのスペインやフランスが伝統的に大量の脂肪をとるが、心臓病が少ないこと(フレンチ・パラドックス)を無視した。

キーズの研究は(世界に)動物性脂肪への恐れを拡げた。1957年にAHA(アメリカ心臓病学会)は心臓病の敵として動物性脂肪の消費をターゲットとした。

(しかし反対に)3年前(2013年2月の)『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の研究では、オーストラリアの中年男性でマーガリンをバターの代わりに食べたものは高い死亡率を記録した。

マーガリン油はオメガ6脂肪酸を多く含んでいることが一つの理由である。オメガ6脂肪酸は身体に炎症を起こし、循環器疾患を引き起こす。

昨年、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルのオープンハート研究が30年間もの『バターと牛乳を避けろ』というアドバイスをひっくり返した。「私たちは飽和脂肪酸、バターを10パーセントカットするように言ってきた。もう、それは紹介されるべきではないということだ。そのような暴露がバター・ルネサンスをひきおこした」と政府の専門家は言う。

 

 

2016年9月12日『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』原著論文
「砂糖業界と冠状動脈疾患の研究ー業界内部文書の歴史分析」
Sugar Industry and Coronary Heart Disease Research
A Historical Analysis of Internal Industry Documents
Cristin E et al.
JAMA Intern Med.
Published online September 12, 2016

 

2016年9月15日『CNNニュース』
「砂糖業界、健康リスクの科学的論議を操作 有利な研究支援か」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35089130.html

 

 

2016年4月12日『ワシントンポスト』
『このデータはアメリカ人の食生活をつくりかえたが、そのデータは全て出版されていなかったのだ』
This study 40 years ago could have reshaped the American diet. But it was never fully published.

 

2016年4月12日『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』原著論文
『トラディショナルな食事と心臓病仮説の再評価:復元されたデータによるミネソタ冠状動脈研究の分析』
Re-evaluation of the traditional diet-heart hypothesis: analysis of recovered data from Minnesota Coronary Experiment (1968-73)
BMJ 2016; 353 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.i1246 (Published 12 April 2016)
Cite this as: BMJ 2016;353:i1246
http://www.bmj.com/content/353/bmj.i1246

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