耳穴の 耳甲介舟に存在する「肝」の主治は「わき腹の痛み、めまい、月経前緊張症、月経不順、高血圧、更年期症候群、眼疾患、神経衰弱」となっています。耳穴「肝」の主治は、中医学の五臓の「肝」の弁証論治の理論から導き出されています。
耳穴診断は原発性肝癌に対して広く研究されています。
2010年「原発性肝癌の患者の耳穴の規則の探求」
原发性肝癌患者的耳穴规律探讨
吴凤萍 《广州中医药大学》 2010年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-2010125714.htm
※ 经卡方检验,则皮质下穴、三焦穴、内分泌穴、胰胆穴、肝穴、角窝中耳肝点穴、腹穴、脾穴,八个穴有特异性。
「皮質下」「三焦」「内分泌」は近い耳穴です。「膵胆」と「肝」も非常に近いです。
肝炎に対しても「肝」「膵胆」「脾」「内分泌」などが使われています。
2018年5月「中医学医療による耳穴圧による肝炎患者の臨床症状の改善の効果の観察研究」
中医护理耳穴压籽用于改善肝炎患者临床症状的效果观察研究
刘建会 《世界最新医学信息文摘》 2018年56期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-WMIA201856189.htm
※肝穴,胆穴,脾穴,内分泌穴
耳穴の 「脾」の主治は、腹脹、下痢、便秘、食欲不振、機能性子宮出血、おりもの、内耳性めまいです。これは中医学の五臓の脾からの弁証論治理論のようです。中国のデータベースCNKIで「耳穴 脾虚」を検索キーワードにすると50本の論文がヒットしました。
非常に面白いのが、ラファエル・ノジェ博士は小児の多動性障害に対して左の「膵臓」、右の「肝臓」を処方していることです(邦訳『Nogier博士の耳介治療ハンドブック』、84ページ)。これは片頭痛に対するラファエル・ノジェ先生の処方と並んで興味深いところです。
そして、中国の小児の多動症に対して、中国式耳穴は加減方として「肝」「脾」を使っています。
2011年「耳穴の丸圧による児童多動症28例の治療」
耳穴压丸治疗儿童多动症28例
罗荣芬 何明 《中医外治杂志》 2011年04期
※治疗方法取穴:主穴:肾,皮质下,神门,脑干。配穴:健忘多梦加心;纳差加脾;易怒加肝。
他の論文も、耳穴は主穴として「腎」「皮質下」「神門」「脳幹」を使っているものが多かったです。加減方である「心」「脾」「肝」は面白い可能性があると感じました。
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