2021年の日本における最大の変化は、自民党・岸田政権が総選挙後の2021年11月17日に事実上の「外国人移民受け入れ」に政策転換したことです。
これは、2019年4月の「特定技能ビザ制度」ができてから「なし崩しの移民制度への転換」がささやかれてきたことの延長の政策です。
われわれの子どもたちは、他民族共存の移民国家に生きることになります。
2010年に技能実習制度ができて、首都圏の埼玉県の蕨市には在日クルド人が集まり、埼玉県の八潮市のパキスタン人コミュニティがヤシオスタンとよばれ、群馬県の太田市には太田モスクができ、群馬県伊勢崎市にはイスラム教徒教育施設であるダールッサラームマドラサができています。
安田峰俊さんは、在日外国人社会の詳細な取材にもとづき、今、日本社会で起きつつある変化を描写しています。
わたしは毎週、在日外国人への訪問鍼灸マッサージ治療を何年も継続しており、その方が神戸の外国人コミュニティの地域の中心人物であるため、他の方よりは実情を理解しているつもりでした。
しかし、安田峰俊さんの文献を読んで、自分の認識の浅さを痛感しました。
外国人コミュニティの歴史が古い神戸市と他の地域はまったく実情が違うようです。おそらく日本の地方行政府も語学などの問題から実情を把握していないのではないかと感じます。
地方の行政担当者は、英語はもとよりベトナム語、ネパール語、ウルドゥー語などを学ぶ必要があります。現政権が移民解禁をした以上、移民コミュニティに日本語教育などを提供してソフトランディングした方が社会的コストも抑えられ、人道的なはずですが、地方公務員の性質からその道は選択されないと予測しています。
日本社会の変化を理解するのに、もっとも良い文献だと思いました。
【目次】はじめに第一章 コロナ、タリバン、群馬県――隣人は平和な「イスラム原理主義者」第二章 「兵士」たちの逃亡と犯罪――主役は中国人からベトナム人へ第三章 頼りなき弱者――ベトナム「送り出し」業者に突撃してみれば第四章 「低度」人材の村――ウソと搾取の「破綻した制度」第五章 「現代の奴隷」になれない中国人――稼げない日本に見切りをつけるとき第六章 高度人材、低度人材――「日本語だけは上手い」元技能実習生第七章 「群馬の兄貴」の罪と罰――北関東家畜窃盗疑惑の黒い霧おわりに
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