中国最古の炒鋼製医療用針 海昏侯墓から出土

2025年6月26日フランス国営AFP通信
「中国最古の炒鋼製医療用針、海昏侯墓から出土」


以下、引用。

中国江西省文物考古研究院は、このほど同省南昌市にある前漢時代の諸侯墓、海昏侯劉賀墓から出土した針状の金属が銑鉄を溶かして鋼鉄にする「炒鋼法」によって作られた最古の医療用針であることを最新の考古学調査で確認したと明らかにした。



炒鋼法は、英語ではパドリングといい、中国は戦国時代後期には鉄鉱石を高温で溶かした液状の銑鉄をつくる技術がありました。銑鉄は炭素が多すぎてもろいために、前漢時代に銑鉄の炭素を抜く炒鋼法ができます。鉄を固くして鋼鉄にします。 

驚くべきなのは、イギリスの産業革命でコークスが使われて炒鋼法が発明されたのは1700年代で、鋼鉄をつくるベッセマー法が発明されたのは1856年です。ベッセマー法に投資したアメリカのアンドリュー・カーネギーは鉄道レールのコストを1トン当たり100ドルから50ドルと半減させ、カーネギーの会社、USスチールは世界一の鉄鋼会社となり、アメリカ大陸横断鉄道に鉄道レ―ルを供給します。

中国は西洋世界の1000年以上前に鋼鉄をつくることに成功していました。前漢の武帝(BC156ーBC87)の時代に匈奴との戦争によって財政がひっ迫したために、漢政府はBC119年に鉄の専売制をはじめます。前漢の第8代、昭帝の治世でBC81年に塩鉄会議が行われ、鉄の専売制をめぐって大議論が政府内で起こり、『塩鉄論』として出版されています。

中国の宋代のテクノロジーは驚異的です。まず、宋代のエネルギー革命があります。石炭を蒸し焼きにして高エネルギーを産みだす加工石炭コークスが燃料として使われました。この高温によって宋代の陶磁器がうまれました。宋代の中国北部の製鉄の生産量は15万トンであり、産業革命後の18世紀ヨーロッパの生産量と同じでした。宋代中国では、銅鉱山がすべて官営となり、銅銭(宋銭)が鋳造され、貨幣経済となります。日本では、平清盛が日宋貿易を通じて宋銭を大量に輸入し、日本は貨幣経済となっていきます。


以下、引用。

発掘チームを率いる楊軍氏によると、医療用針は墓の内棺に納められていた金漆木箱内の玉管から見つかった。埋葬環境の影響により保存状態は悪く、複数のさびた断片となっていた。楊氏は「玉管の断面に少なくとも5本の針状物を確認できるが、引き出せるのは1本だけで、何本かは破断した状態で中に残っている。表面の付着物には泥状の織物が含まれている」と説明。清潔さと持ち運びしやすさのために針状物を布で包んで玉管に入れたと考察した。

文化財保全のため、研究員らは針状物を全て取り出さず、玉管の残片の一部と保存処理過程で玉筒から抜けた針状物の断片のみを対象に検査や分析を実施し、断面の直径が0・3~0・5ミリの炒鋼製品と確認した。

北京大学国学研究院の王楚寧博士は、出土した「九針具一」と書かれた札により、この針が医学書「黄帝内経」に記載のある九針の一つで、明らかに医療用だと話した。針の太さは現在の鍼灸針に近いという。

中国中医科学院中国医史文献研究所の周琦副研究員は「一般的な鉄鍼はさびやすく、繰り返し人体に刺すと感染症を起こしやすい。金製や銀製の針は柔らかく容易に折れるため、細く仕上げるのが難しい。一方、鉄鍼は臨床現場でさまざまな治療に用いることができ、保管もしやすい」と指摘。今回の出土は鍼灸発展史における重大な発見であり、医療用針が石製から金属製へと質的に変化したことを裏付けるとの見解を示した。

同院中医文献研究室の顧漫主任によると、出土した医療用針はこれまでに発見された中国の鋼製医療用針の中で最も古く、前漢時代の鋼鉄冶金史と中国古代医学史における重要な史料となる。前漢時代には炒鋼法が中医鍼灸針の製造に用いられ、材料学の進歩が中医鍼用具の進化と鍼灸医学の発展を促してきた。


1968年中国、河北省、満城漢墓から発掘された金鍼、銀鍼の動画もあります。1968年、文化大革命の最盛期に人民解放軍が河北省の満城区の陵山に防空壕をつくるために岩壁を打ち壊すと、漢代の景帝の子、中山靖王・劉勝の墓が発見され、金鍼・銀鍼が出土しました。現在は河北博物館の所蔵だそうです。動画では、最初に水晶のへん石が出てくることに感動しました。以下は、サイズなど参考になる論文です。インターネット上でPDFファイルで読めます。


医针实物遗存的医学考古学解读
——兼论中医对民族医学内容的影响
赵丛苍 吕亚宁
《中原文化研究》 2024年第1期60-70,共11页

Cover image by ともとも3858

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