北京中医薬大学教授の王文遠先生の肩痛穴の動画です。
王文遠著『王文遠平衡針治療頚肩腰腿痛(第2版)』
中国中医薬出版社2017年1月42ページ
王文遠先生は肩関節周囲炎には左右対側の肩痛穴を使うのが有名です。
「平衡鍼灸による肩関節周囲炎8895例の臨床研究」
平衡针灸治疗肩周炎8895例临床研究
王文远 et al.《中国中医药现代远程教育》 2008年04期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTotal-ZZYY200804001.htm
これは事実上、奇穴の中平穴だと思います。邵輝先生の『鍼灸臨床治療法集』に中平穴による肩痛の治療や同名交差取穴法が書かれています。これは日本語では珍しい記述になると思います。
「針灸臨床治療法集」
木村 律 訳編
邵 輝 訳編
出版社名 たにぐち書店
出版年月 1993年4月
ISBNコード 978-4-86129-057-2
http://xn--z8j3ah2b4856byrk.com/?pid=27088409
邵輝先生の『鍼灸臨床治療法集』の同名交差取穴法は、足関節痛に左右反対側の大陵、手関節痛に左右反対側の丘墟、膝関節痛に左右反対側の曲池と王文遠先生の平衡鍼灸とほとんど同じ配穴です。
『鍼灸臨床治療法集』の同名交差取穴法は1986年山西中医学院の楊占林先生の『同経相応取穴法』 (1986年山西科学教育出版社) がオリジナルだと思います。1986年11月20日、 楊占林先生 が阪神中医研を訪問して同経相応取穴法の刺法を教えられていますから、木村律先生関係の関西の中医学鍼灸ではこの配穴をよく使われていると思います。
『はだしの医者教材』(三景)を翻訳された日本の東方鍼灸院、吉川正子先生は、経絡治療の東方会にも所属され、標本根結理論で眼の治療などで有名ですが、王文遠先生の五十肩の王穴として陰稜泉の後下方で五十肩を治したことから陰陽交叉鍼法を創られました。つまり、王文遠先生の平衡鍼灸は五十肩の肩痛穴(中平穴)だけではなく、五十肩の王穴など奥がある二重真理説の構造を持っていると分析しています。
吉川正子先生の陰陽交叉鍼法や柯尚志先生の遠絡療法の影響を受けて、迎随の考え方など鍼灸治療スタイルがかなり変わってきました。
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