中国鍼灸学会の 『新型コロナウイルス肺炎の鍼灸の予防指導意見(第1版)』

 

 

2020年2月9日中国鍼灸学会
『新型コロナウイルス肺炎の鍼灸の予防指導意見(第1版)』
《新型冠状病毒肺炎针灸干预的指导意见(第一版)》
http://www.caam.cn/article/2183

 

「疑い例」には、足三里(ST36)、気海(CV6)、中脘(CV12) 。
「軽症」には、合谷(LI4)、太衝(LR3)、足三里(ST36)、神闕(CV8)。
「回復期」には、大椎(GV14)、膈兪(BL17)、足三里(ST36)、孔最(LU6)。
いずれも棒灸となります。

 

2月12日に陝西省が交付した『关于进一步做好中医药防治新型冠状病毒感染的肺炎有关工作的通知』では、列欠(LU7)、経渠(LU8)、太白(SP3)、陰陵泉(SP9)、崑崙(BL60)、足通谷(BL66)、液門(TE2)、支溝(TE6)、風池(GB20)、風府(GV16)、少商(LU11)、商陽(LI1)、関衝(TE1)とかなり個性的です。

http://sn.people.com.cn/n2/2020/0213/c378288-33791141.html

 

 

中国鍼灸学会会長の劉保延先生と中国鍼灸学会副会長で湖北省中医薬大学校長の王華先生が 『新型コロナウイルス肺炎の鍼灸の予防指導意見(第1版)』 のまとめ役なのは当然です。熱敏灸の陳日新先生や鍼灸弁証論治派を代表する趙吉平先生、『中国灸法学現代研究』の著者、呉換金先生などの名前が入っています。

 

中国鍼灸学会(CAAМ:China Association for Acupuncture and Moxibustion)は1979年に成立しました。中国鍼灸学会(CAAМ)の以下の共産党関連のホームページをみたら、誰もが驚くと思います。

http://dj.caam.cn:8080/dj/

表紙に習近平主席の顔写真が載り、NGOとは言いづらいものを感じます。

中国鍼灸学会会長の劉保延先生は世界鍼灸学会連合会の会長でもあります。世界鍼灸学会連合会は1987年に中国鍼灸学会が主催者として北京で成立大会を行い、それで現在でも世界鍼灸学会連合会の本部は北京にあり、現在もISO標準化などの中心です。

1987年11月22日由中国针灸学会作为东道主,举行世界针联成立大会暨第一届世界针灸学术大会,世界针联在北京宣告成立。
http://www.catcm.ac.cn/…/c4144a537e494abfb199606d542fbb0e.s…

 

 

世界鍼灸学会連合会の中国語ページには本音が垣間見えます。1984年より中国衛生部(中国の厚生労働省)、中国科学技術協会、外交部(中国の外務省)、国家科学技術委員会および、国務院(中国の最高行政機関)が作った組織です。しかし、日本語ウィキペディアにはNGOと書かれています。

世界针灸学会联合会(简称世界针联),自1984年开始筹备,由卫生部、中国科协、外交部和国家科委四大部委联名报请国务院,经国务院批准,由中国方面牵头,在世界卫生组织的指导下,于1987年11月成立,总部设在中国北京。
http://www.wfasedu.org.cn/category/16.html

 

 

中国共産党の下部組織である中国針灸学会が公表した 『新型コロナウイルス肺炎の鍼灸の予防指導意見(第1版)』は、現在の中国針灸のレベルを把握するためにも必須の知識だと思います。学術は学術で、政治的意見とはまったく別に研究すべきだと思います。

 

しかし、同時に世界鍼灸学会連合会は国際標準化機構(ISO)の技術委員会であるISO/TC249
において鍼灸道具の標準化をすすめており、日本の鍼灸師の道具に重大な影響を与えます。
専門家としては中国針灸学会や世界鍼灸学会連合会の実情は知っておくべきだと思います。個人的には、日本鍼灸が世界の鍼灸の情報と隔絶しているのが大きな損失だと感じます。

 

 

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