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「肩痛」の研究者、スペインのセザル・フェルナンデス・ラス・ペニャス

 
2023年3月14日 『ジャーナル・オブ・ペイン』
「過去 22 年間の肩の痛みへの鍼治療の適用: ビブリオメトリック文献分析」
Journal of Pain Research Volume 16, Pages 893-909 2023
Published online: 14 Mar 2023
 
 
以下、引用。
 
肩痛の筋膜トリガーポイントの治療へのドライニードドリングの効果に関するもっとも生産的な論文著者はセザル・フェルナンデス・ラス・ペニャスだった。
 
彼の研究チームの関心の大部分は、回旋筋腱板損傷後の筋筋膜トリガーポイントの痛みに対するドライニードリングの効果の研究に向けられた(『ヨーロッパ疼痛ジャーナル』)。
 
近年、肩の痛みを治療するための電気鍼治療の有効性と安全性に関する研究が研究のホットスポットとなっている。
 
 
スペインのセザル・フェルナンデス・ラス・ペニャス先生は、スペイン、マドリッドのファン・カルロス王大学の理学療法学部の学部長で、疼痛研究所の所長です。

 

2018年
J.M.Donnelly
C.Fernandez-De-Las-Penas
Wolters Kluwer2018/02/28
 
Travell, Simons & Simons' Myofascial Pain & Dysfunction3rd ed.- The Triger Point Manual
 
 
オランダの企業、ヴァルタース・クルーワーから出版されています。アメリカの老舗の医学出版社、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンスはヴァルタース・クルーワーの所有です。
 
トリガーポイントの概念をつくったジャネット・トラベルは、1983年にデビッド・サイモンズと共著で『トリガーポイントマニュアル』をウィリアムズ・アンド・ウィルキンス社から出版しました。1992年と1994年に日本のエンタプライズ出版社から翻訳が出ています。
 
 
Myofascial Pain and Dysfunction, Vol. 1: The Trigger Point Manual, The Upper Extremities Hardcover – June 1, 1983
Janet Travell , David Simons
Williams & Wilkins (June 1, 1983)
 
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ジャネット・トラベルは1998年に亡くなり、デビッド・サイモンズは妻のロイス・サイモンズと『トリガーポイントマニュアル第2版』を出版しました。第2版では、デビッド・サイモンズが1999年に提唱したエネルギー危機仮説が入っています。
 
 
1999年「マイオフェーシャル・ペインと機能障害:トリガーポイントマニュアル第2版」
Myofascial Pain and Dysfunction, The Trigger Point Manual, 2nd Edition. (2 Volumes).
David G. Simons, Janet G. Travell, and Lois S. Simons.
Williams & Wilkins,1999
 
 
現在は、ジャン・ドマーホルツの提唱したトリガーポイント拡張統合仮説(ITPH:Integrated Trigger Point Hypothesis)がトリガーポイント理論の中心です。
 
 
2004年「トリガーポイント形態のサイモンズとの統合仮説の拡張」
An expansion of Simons’ integrated hypothesis of trigger point formation
Jan Dommerholt, et al.
Curr Pain Headache Rep. 2004 Dec;8(6):468-75.
 
 
 
2018年に第3版の「トラベル、サイモンズ&サイモンズのマイオフェーシャル・ペイン・&ディスファンクション」が出版されたときは驚きました。ジャネット・トラベルもデビッド・サイモンズもずいぶん前に亡くなっていたからです。
 
 
こういった人名を冠した医学専門書は、腰痛の分野では、菊池臣一先生の師匠で腰痛の権威であるイアン・マクナブの名前を冠した『マクナブ腰痛』が有名です。
 
1999年に日本の医歯薬出版社から『Macnab腰痛第3版』として翻訳が出版され、第4版は2007年に出版されましたが、未だに日本語訳が出ないので、これからは英語で読むことになると思います。
 
 
日本の整形外科分野では、神中正一先生の『神中整形外科学 改定23版』が2013年に出版されています。神中正一先生は股関節手術(論文「股関節形成術の日本 の歴史」参照)、手術器具エレバトリウムの創案、日本において最初に斜角筋症候群の発表を行ったことなどが業績として挙げられています。
 
 
英語圏では、ハリソンの名前を冠した『ハリソン内科学』があり、2022年に第21版が出版されました。日本語では『ハリソン内科学第21版』が2022年4月に出版されています。
 
トリガーポイント理論は、1990年代から日本でアップデートされていないのは大きな問題だと思います。
 
 
 

 

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