曲直瀬道三の察病弁治

 

 

「曲直瀬道三の察証弁治 ―泌尿器疾患を中心に」
熊野 弘子
『関西大学東西学術研究所紀要』 49, 495-513, 2016-04-01

 

日本の安土桃山時代の曲直瀬道三は『啓迪集(けいてきしゅう)』で弁証論治ならぬ察病弁治によって針灸治療をおこなっていました。

この論文は遺尿や小便失禁を扱っています。

曲直瀬道三著『鍼灸集要』では、遺尿に対して陰陵泉(SP9)、陽陵泉(GB34)、中極(CV3)、関元(CV4)の灸を用いています。

 

 

「曲直瀬道三の察証弁治 : 癃閉・関格を中心に」
熊野弘子
『東アジア文化交渉研究』 (9), 489-502, 2016-03

 

泌尿器疾患の癃閉(りゅうへい)や関格の察病論治を論じています。
関格は小便不通で嘔吐するという状態です。

引用されるのは、朱丹渓著、1481年『丹渓心法』、虞搏著、1515年『医学正伝』、劉純著、1396年『玉機微義』 です。

肺・脾・腎の三臓と上焦・中焦・下焦のいずれもが尿の異常と関係しますが、やはり小腸が重視され、血分の熱が重視されています。小便急満して不通には太衝(LR3)、中封(LR4)、関元(CV4)、胞肓(BL53)、腎兪(BL23)の灸と神闕の塩灸、三陰交(SP6)の灸が使われています。

 

日本でも、鍼灸分野で弁証論治そっくりの察病弁治をしていた歴史があります。特に腰痛と頭痛は完全に経絡弁証です。

 

2017年「曲直瀬道三の察証弁治と中国医法の受容 : 腰痛を中心に」
熊野弘子『関西大学東西学術研究所紀要』 (50), 163-187, 2017-04

 

2018年「曲直瀬道三の察証弁治と中国医学の受容 : 頭痛を中心に」
熊野弘子『関西大学東西学術研究所紀要』 (51), 193-226, 2018-04

 

 

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