ファッシャの歴史、特にオステオパシー、カイロプラクティックの側面からファッシャを研究する際の必読文献です。
著者のレオン・チャイトウは、35ページからの第2章でスタンリー・リーフの母親がチャイトゥ家から嫁いでいたことなど、ニューロ・マスキュラー・テクニックとリーフ家とチャイトゥ家の知られざる歴史を書いていきます。
第10章アメリカ合衆国における神経筋療法では、ジュディス・ディレーニーがアメリカでのニューロ・マスキュラー・テクニックを論じ、レイモンド・ニモによるカイロプラクティック分野でのトリガーポイントの導入も詳細に論じています。オステオパシー・カイロプラクティック分野でのファッシャの歴史の日本語での文献学的な根拠になるのはこの本です。
序文はトリガーポイントの現代のトップ研究者、スペインのセザル・フェルナンデス・ラス・ペニャスであり、レオン・チャイトーの序文では「ニューロマスキュラー・テクニックとは何か」という問いかけにたいして「トリガーポイントを対象とした徒手療法」と答えています。
第2章の第2節のタイトルは「経穴」です。阿是穴、募穴・兪穴・井穴について論じられています。
ファッシャル・マニピュレーションのイタリアのルイジ・ステッコが最初に論じたのは神経ー筋ーファッシャの連続と鍼の経絡というファッシャと経絡の共通点でした。
『アナトミー・トレイン』のアメリカのトーマス・マイヤーズが最終章で論じているのは「マイヤーズのアナトミー・トレインは東洋医学の経絡とほとんど一致していること」です。
ジャネット・トラベルのトリガーポイントは現在、アメリカの鍼灸学校では阿是穴と同一視されています。そして、例えば僧帽筋にトリガーポイントが形成されると、足少陽胆経そっくりの関連痛が出ることが知られています。
『ニューロ・マスキュラー・テクニック』はアーユルヴェーダのインド式ツボ、マルマの研究から始まり、トリガーポイントを取り入れた手技療法であり、対象はファッシャなのです。
そして最終章、第12章では「タイ・マッサージと神経筋テクニック」と題して、タイの経絡センとタイ式マッサージについて論じています。
コメント