「鍼の研究の困惑と仮説」
针刺研究的困惑与假说
李永明 《中国中西医结合杂志》 2013年11期
(無料オープンアクセスPDFファイル有り)
アメリカ中医学会(American TCM society)の会長である李永明先生の論文です。この論文は日本人鍼灸師にとって重要だと思います。
以下、引用。
【硬鍼灸と軟鍼灸】
硬鍼灸とは中国鍼灸であり、経絡と手法を重視し、少ないツボを取穴し、鍼感を強く感じさせ、患者は必ずしも集中していない。比較的粗っぽい長い鍼を使い、消毒して反復使用する。一般には針管は使わない。
軟鍼灸とは西側世界で流行している鍼灸の方法であり、日本に源流がある。特徴として、ツボをとることを重視して、手法や鍼の感覚は強調しない。多く取穴し、患者はリラックスして集中することを求められる。細い短い鍼を使い、多くは針管で補助する。
私の目の前のアメリカでは大多数が軟鍼灸を用いており、中国では硬鍼灸が流行している。軟鍼灸は安全性が高く、患者は受けるのが容易である。
欧米の臨床試験では中医学鍼灸、硬鍼灸を真鍼として、浅い鍼やツボを外した鍼、軟鍼灸をプラセボ偽鍼として扱って来ました。その結果、真鍼と偽鍼の効果が同じだったり、あるいは偽鍼のほうが効果が高いという結果から「鍼はプラセボである」という批判を招いてきました。
李永明先生は「人体でツボでないところは存在しない」 として、さらにアメリカでは日本由来の軟鍼灸が患者に人気であり、臨床試験の結果も中国の硬鍼灸と同じかそれ以上であることを指摘しています。アメリカと中国の実情を両方知っている李永明先生の御意見は貴重だと思います。
コメント