頸椎症に関する中国の特殊治療を調べていたら「通督温陽」「通調督脈」「調脊通督」「通督昇陽」と名前こそ違いますが、「督脈の陽気を通じさせる治療」が現代中国で多く行われていることがわかりました。関西中医鍼灸研究会では、邵輝先生の家伝の鍼灸として督脈に温灸する、督脈通陽法、督脈任脈調整法を臨床で研究してきました。頸椎症は普通に考えて督脈病ですから、当然と言えば当然です。
2004年「督脈の論治による頸椎症の手法の理論と推理」
从督脉论治颈椎病手法效应的理论推断
眭承志 陈少玫 叶志英
《中医研究》 2004年05期
この論文は頸椎症を「湿火が督脈に潜伏する(湿火伏督脉)」と見なしています。後頂、風府、大椎、列欠などを使っています。
「通調督脈による椎骨動脈型頸椎症」
通调督脉治疗椎动脉型颈椎病
刘月芝 《中国针灸》 2007年04期
めまいに風府・大椎・百会などです。
「調脊督脈鍼法による神経根型頸椎症の治療の臨床観察」
调脊通督针法治疗神经根型颈椎病临床观察
万博鹏 《湖北中医药大学》 2011年
督脈の圧痛点を用いています。
针灸治疗椎动脉型颈椎病从通督升阳论治探讨
陈诗敏 何兴伟 胡宋锋 谢强
《江西中医药》 2013年02期
督脈の電気鍼と温鍼灸(灸頭鍼)。
“温阳通督”法治疗颈型颈椎病的临床疗效观察
洪小萍
《福建中医药大学》 2016年
命門に温灸。風池、頚挟脊、腰陽関、後渓、列欠。
2017年「神経根性頚椎症患者の熱敏灸の腧穴温度覚特性の研究」
神经根型颈椎病患者热敏态腧穴温度觉特征研究
谢丁一 谢秀俊 陈日新 迟振海
《安徽中医药大学学报》 2017年01期
『熱敏灸の棒灸療法(腧穴热敏化:艾灸新疗法2006)』では、頚椎症に対して
(1)頸部夾脊穴の圧痛点:灸感を響かせる。
(2)百会・大椎から督脈に響かせる。
(3)至陽(GV9)から胸腔に響かせる。
(4)手三里・陽陵泉から頸部に響かせる。
という治療法です。
『実践・熱敏灸(热敏灸实用读本2009)』では、神経根型で
(1)頸部夾脊穴の圧痛点:灸感を響かせる。
(2)肩井の圧痛点
(3)大椎・肺兪から上肢に響かせる。
と発展しました。動脈型には神庭(GV24)も使います。
上記の中では、熱敏灸以外は命門に温灸している例が一例あるだけで鍼が中心のようです。督脈の温通は治療効果が高いので、方法はバラバラでも中国でチラホラ使われているのが現状のようです。こう見ると熱敏灸はずば抜けています。
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