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ヘッドゾーン

 

 

2014年コロンビア国立大学の研究
「ヘッドゾーンと鍼の経絡経穴との解剖・機能連関:ニューラルセラピーの観点からの比較分析」
Anatomo-Functional Correlation between Head Zones and Acupuncture Channels and Points: A Comparative Analysis from the Perspective of Neural Therapy
Martha Liliana Beltrán Molano et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2014; 2014: 836392.
Published online 2014 Nov 25. doi: 10.1155/2014/836392

 

論文内の図の緑の部分が「肝臓・胆囊のヘッド・ゾーンとツボ」になります。

 

【肝臓・胆囊のヘッド・ゾーンとツボ】
胃経:不容(ST19)、関門(ST22)、天枢(ST25)
脾経:腹哀(SP16)、
肝経:章門(LR13)、期門(LR14)、
胆経:日月(GB24)、帯脈(GB26)、
腎経:陰都(KI19)、腹通谷(KI20)、
任脈:水分(CV9)、建里(CV11)、巨闕(CV14)、中庭(CV16)
背部:督兪(BL16)、膈兪(BL17)、肝兪(BL18)、胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、魂門(BL47)、志室(BL52)、脊中(GV6)、中枢(GV7)、筋縮(GV8)、至陽(GV9)

 

だいたいがT6-T12のデルマトーム上です。臨床的な胆石症の肩こりは説明しにくいです。論文内の図の黄色が胃のヘッドゾーン、オレンジが大腸のヘッドゾーンです。

 

南米とヨーロッパで行われている代替医療、ニューラルセラピーはドイツの医師フェルディナンド・フネケが開発しました。

スイスのベルン大学の補完医療研究所や、ドイツのハイデルベルク大学総合病院などのスイス=ドイツ語圏が研究の中心になっています。麻酔科の医師が神経ブロック注射、トリガーポイント注射と併用してデルマトームへの麻酔薬注射を行います。西洋医学の麻酔科の先生が麻酔薬で鍼をしているような感じの治療法であり、スイスでは政府が保険適応を認めています。

以下、引用。

生殖器エリアは前立腺・精巣上体・付属器・精巣・卵巣そして子宮頚部と子宮体部のヘッドゾーンから構成されるが、デルマトームのT10からL1の間にあり、解剖学的ギャップのためL2からL4は含まれない。

 

西洋医学的にも子宮と関連するのは子宮体部と子宮頸部に分布する交感神経性の下腹神経はT10-L1、仙髄から出力して子宮頸部と膣部に分布する副交感神経性の骨盤神経はS2-S4です。

子宮や卵巣の神経支配からL2-L4は抜けています。しかし、血海、陰陵泉、地機、三陰交といった経験的に生理痛などに効くツボは下肢のL4デルマトーム領域あたりになります。

ヘッドゾーンや内臓体壁反射の理論には大穴が開いています。

エッアート・エルンストは『鍼治療の科学的根拠』の中でセグメンタル・アキュパンクチャー(脊髄分節刺鍼)を一章を使って批判しています(同書、69-71ページ)。セグメンタル・アキュパンクチャーは「多くの複雑性および不確実性に直面している」のです。私も大後頭神経三叉神経症候群や頸原性頭痛の鍼灸治療の研究をしているときに実感しました。さらにヘッド帯の研究をしながら、エルンストの批判が真摯なものであると理解できるようになりました。

エッアート・エルンストは以下のように述べています。

以下、引用。

とにかく関連している可能性のある脊髄分節の範囲は、最初に思われていたよりも明らかに広いのである。

ここで重要なのは交感神経系は分離したシステムではなく全体の構成部分であり、身体のいかなる部分に対しても影響を及ぼし得るということである。

エッアート・エルンスト『鍼治療の科学的根拠』医道の日本社、2001年。71ページ。

 

エルンストがセグメンタル・アキュパンクチャーについて17年前の2001年に書いた見解はいまでも正しいと思います。

 

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