抗がん剤の副作用のホットフラッシュ への鍼

2016年12月21日 アメリカの鍼の研究を代表する『スローン・ケッタリングがんセンター』
「鍼は乳がん患者のホットフラッシュをともなう睡眠を改善できるの?新しい研究は、『イエス!』と言っている」
Can Acupuncture Improve Sleep for Breast Cancer Survivors with Hot Flashes? New Study Says Yes

花粉症の鍼灸治療セミナーにおいて、このような質問がありました。

外国人の方で、抗がん剤の副作用としてホットフラッシュを訴える方がおられるのですがどうしたらよいですか。

以下、上記記事から引用。

なぜ乳がんの女性はしばしばホットフラッシュを経験するのか。

ホットフラッシュは乳がん女性が副作用として多くが経験する症状である。それらは(女性ホルモンを分泌する)卵巣の除去手術や化学療法による早い閉経症状として起こる。

また、抗がん剤は女性ホルモンに影響し、タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬はホットフラッシュを悪化させ、それらは持続する。

ホットフラッシュを治療するための薬物療法アプローチはあり、一部には効果があるが全ての患者に効くわけではない。そして体重減少やセクシャルな副作用はとても煩わしい。

私は患者がより多くの選択枝を求めていると考えている。

鍼は乳がんの女性がホットフラッシュをマネージメントするのに効果があり、睡眠を促進することができるかもしれないとスローン・ケッタリング記念病院の統合医療部のチーフであるジュン・マオ医師は説明している。

乳がんの治療中の女性はしばしばホットフラッシュに関連した睡眠障害を経験する。

スローン・ケッタリング記念病院が提供する電気鍼は睡眠を促し、ホットフラッシュを減少させる。

鍼はホットフラッシュを減少させる薬物療法に付随する体重増加のような副作用は全くない。

スローン・ケッタリング記念病院が発表したのは以下の論文です。

2016年11月21日北米更年期学会の学術雑誌『メノポーズ』発表の原著論文
「ホットフラッシュを伴い睡眠を防げられる乳がんサバイバーへの電気鍼とガバペンチンの効果の比較:ランダム化比較試験」
Comparative effectiveness of electro-acupuncture versus gabapentin for sleep disturbances in breast cancer survivors with hot flashes: a randomized trial
Sheila N Garland, Sharon X Xie, Qing Li, Christina Seluzicki, Coby Basal, Jun J Mao
Menopause
the Journal of the North American Menopause Society 2016 November 21

【結論】ホットフラッシュを経験する女性にとって電気鍼の効果はガバペンチンと比較して睡眠の質を改善し、特に睡眠の反応時間や効果について顕著であった。

2010年、デトロイトのヘンリー・フォード病院のエレノア・ウォーカー医師が、鍼がホットフラッシュを減少させ、性的衝動を亢進させることをランダム化比較試験により報告しました。

「ホルモン受容体陽性の乳がん患者の血管症状のマネージメントにおける鍼VSベンラフィキシン(SNRI):ランダム化比較試験」
Acupuncture versus Venlafaxine for the Management of Vasomotor Symptoms in Hormone Receptor Positive Breast Cancer Patients: A Randomized Controlled Trial.” ELEANOR WALKER et al.Journal of Clinical

※鍼は何人かの女性の性的衝動を増加させ、ほとんどはエネルギーの改善、思考の明瞭さ、健康な感覚を報告している。

2014年にスローン・ケッタリング記念病院のマオ医師が、乳がんの治療に使われるアロマターゼ阻害薬に伴う関節痛を電気鍼が減らす事ができるという論文を発表しています。

「アロマターゼ阻害薬使用に関連した関節痛への電気鍼のランダム化試験」
A randomised trial of electro-acupuncture for arthralgia related to aromatase inhibitor use
Jun J. Mao et al.
European Journal of Cancer
January 2014Volume 50, Issue 2, Pages 267–276

2016年4月、コロンビア大学の研究者たちが『乳がん研究と治療(Breast Cancer Research and Treatment)』という学術誌に乳がん患者のタキサンによる末梢神経障害を電気鍼が予防できるかというランダム化比較試験を報告しました。

「乳がんの早期ステージの女性のタキサンによる末梢性神経障害を予防する電気鍼の偽鍼対照パイロット・ランダム化比較試験」
Randomized sham-controlled pilot trial of weekly electro-acupuncture for the prevention of taxane-induced peripheral neuropathy in women with early stage breast cancer.
Greenlee H et al.
Breast Cancer Res Treat. 2016 Apr;156(3):453-64.

2016年11月1日、『オンコロジー・ナース・フォーラム』に「乳房切除術を行った女性の痛み・吐き気・不安・対処における鍼のインパクトの評価」という論文が発表されました。

「乳房切除術を行った女性の痛み・吐き気・不安・対処における鍼のインパクトの評価」
Assessing the Impact of Acupuncture on Pain, Nausea, Anxiety, and Coping in Women Undergoing a Mastectomy
J Quinlan-Woodward et al.
Oncol Nurs Forum 43 (6), 725-732. 2016 Nov 01

2016年11月21日、『メノポーズ』にスローン・ケッタリング記念病院のマオ医師らが「ホットフラッシュを伴い睡眠を防げられる乳がんサバイバーへの電気鍼とガバペンチンの効果の比較:ランダム化比較試験」を発表しました。

「ホットフラッシュを伴い睡眠を防げられる乳がんサバイバーへの電気鍼とガバペンチンの効果の比較:ランダム化比較試験」
Comparative effectiveness of electro-acupuncture versus gabapentin for sleep disturbances in breast cancer survivors with hot flashes: a randomized trial
Sheila N Garland, Sharon X Xie, Qing Li, Christina Seluzicki, Coby Basal, Jun J Mao
Menopause
the Journal of the North American Menopause Society 2016 November 21

乳がんの患者さんのケアのための鍼は現在、アメリカで盛り上がっている研究領域の一つだと思います。

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