レーザー鍼の歴史

「レーザー鍼の初期の歴史:誰が最初に使ったのか?」
Early history of laser acupuncture: who used it first?
Insoo Jang,a Seungho Sun,b and Minjeong Jeongc,
Integr Med Res. 2019 Jun; 8(2): 129–130.
Published online 2019 Apr 30.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6541759/


韓国、又石大学韓医学部、
韓国、尚志大学韓医学部の研究者たちの研究です。

以下、引用。

学者たちはフリードリッヒ・M・W・プログ(1920-2009)というドイツ系カナダ人医師が1973年に最初におこなったと信じられている。もちろん、レーザー鍼は中国とソ連で最初に発達したという主張も存在している。しかしながら、レーザー鍼の使用において学術の世界ではプログが最初のレーザー鍼使用者であるということに意見の相違はない。それにもかかわらずソ連についての研究の紹介が少ないというのは事実である。シューアはレーザー鍼を紹介して英語で出版し、高血圧治療を報告している。

旧ソ連には周波数を使い分けるレーザー鍼、超音波鍼(ウルトラサウンドパンクチャー)、電磁波鍼(EMR)、マイクロウェーブ鍼(MRT)などハイテク鍼が発展しました。

もともとレーザー技術は軍事技術であり、1953年にアメリカのベル研究所でチャールズ・タウンズがマイクロ波を使ったメーザー(MASER:Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation)として開発しました。1959年から1960年にゴードン・グールドがレーザー(LASER:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)を発明します。1960年にセオドア・メイマンがルビー・レーザーの発振に成功します。

現在、欧米で流行しているLLLT(Low-level laser therapy:低出力レーザー治療)は1967年にハンガリーの科学者アンドレ・メスターが発見しました。そして1973年にフリードリッヒ・M・W・プログが最初にレーザー鍼を行い、ソ連でも1975年にShchur が高血圧のレーザー鍼をおこなったというのが歴史のようです。

ソ連、現在のロシアのロウ・レベル・レーザー鍼(LLLT)については以下の論文が詳しいです。

2017年「ロシアにおける低出力レーザー治療:科学と実践」
Low-Level Laser Therapy in Russia: History, Science and Practice
Sergey Vladimirovich Moskvin
J Lasers Med Sci. 2017 Spring; 8(2): 56–65.
Published online 2017 Mar 28. doi: 10.15171/jlms.2017.11
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5474383/

ロシア鍼灸を研究していると、周波数を使い分けるレーザー鍼に特徴があります。

365-405ナノメートル:ウルトラバイオレット(紫外線)スペクトラム
365-405 nm – ultraviolet (UV) spectrum,

440-445ナノメートル:ブルー・スペクトラム
440-445 nm – blue spectrum,

520-525ナノメートル:グリーン・スペクトラム
520-525 nm – green spectrum,

635ナノメートル:レッド・スペクトラム
635 nm – red spectrum,

780-785ナノメートル:赤外線スペクトラム
780-785 nm – infrared (IR) spectrum,

890-904ナノメートル:IRスペクトラム
890-904 nm – IR spectrum.

これらのレーザー鍼における周波数の使い分けは現代におけるレーザー鍼研究の第1人者であるオーストリアのゲルハルト・リッシャー先生が研究し、さらに進化させています。

「バイオレット・レーザー鍼」
Violet laser acupuncture–part 1: Effects on brain circulation.
Litscher G
J Acupunct Meridian Stud. 2010 Dec;3(4):255-9. doi: 10.1016/S2005-2901(10)60045-3.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21185540

「イエロー・レーザー鍼」
Yellow laser acupuncture – A new option for prevention and early intervention of lifestyle-related diseases: A randomized, placebo-controlled trial in volunteers.
Litscher D,
Laser Ther. 2015 Mar 31;24(1):53-61. doi: 10.5978/islsm.15-OR-07.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25941426

※イエロー・レーザーはすでに存在するレッド・レーザー、近赤外レーザー、グリーンレーザー、ヴァイオレットレーザーに加えて新しいレーザー鍼の選択枝である。

日本レーザー治療学会には認定レーザーはり師、認定レーザーきゅう師という認定資格が存在します。

https://jalta-jp.com/form/sinsei_tebiki.pdf

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