こどもの成長痛、下肢痛

2019年10月8日
「児童の成長痛への推拿治療」
推拿治療兒童生長痛

こどもの成長痛は3歳ぐらいから12歳ぐらいの子どもでみられます。ちょうど骨肉腫の好発年齢と重なります。しかも成長痛は普通は関節外が痛みますが、3分の2の子どもはすね、ふくらはぎ、ふともも、膝窩などほとんど両側が痛みます。

しかも成長痛はふつう1日の遅く(夕方から夜)だったり、夜間に起こり、しばしば子どもは痛みで目が覚めます。痛みの期間は数分から数時間です。痛みの程度はマイルドからシビアまであります。朝には子どもは痛みから解放されます。

つまり、こどもの成長痛は下肢が多く、夜間痛です。しかも成長痛の病理学、病因は不明です。

科学的立場から言えば、患者が典型的な成長痛の症状なら臨床検査やX線検査などの画像診断をする必要はありません。成長痛の治療は家族や患者に成長痛の自然経過を説明して、不安や恐怖を減らす事です。痛いときは気持ちの良い局所のマッサージ療法は鎮痛として使えます。」(※1)成長痛は典型的な臨床症状を問診で把握できれば、患者を安心させることに専念します。

※1「こどもの成長痛」
Growing pains in children
Yosef Uziel
Pediatr Rheumatol Online J. 2007; 5: 5.Published online 2007 Apr19.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1869025/

臨床では子どもの下肢痛は要注意です。子どもの下肢痛ではスポーツ歴、オーバーユース歴、外傷歴と一緒に問診して、疑わしきは精密検査です。特に、骨肉腫のレッドフラッグスを覚えていない臨床家は子どもの下肢痛を診るべきではありません。

骨肉腫は10歳から14歳の子どもに起こります。アメリカでは年間3万人の子どもが骨肉腫となります。四肢などに限局された骨肉腫の場合、進行すると四肢切断手術となりますが、現在は早期に発見できたら85パーセントは四肢温存手術と化学療法で治療できます。5年生存率はハイグレードの骨肉腫では60-65パーセントになります。ステージが進行して転移すると、5年生存率は20パーセントとすごく低くなります。サッカーなどのスポーツをしている子どもが骨肉腫やユーイング肉腫の場合、調査では患者の半数、マイナー外傷を持っています。持続的な痛みや安静時痛だけでは鑑別できません(※2)。

※2:「骨肉腫の初診時の症状とマネージメント」
Initial presentation and management of osteosarcoma, and its impact on disease outcome.
Yang JY
Hong Kong Med J. 2009 Dec;15(6):434-9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10819277

>骨肉腫患者の47パーセント、ユーイング肉腫の患者の26パーセントは、同時にマイナー・トラウマ小外傷をともなう痛みの始まりと関連している。

>もっとも重要な臨床的特徴は触診できる固まりである。

特にバレエなどをしている子どもの場合、子どもの下肢痛では疲労骨折のレッドフラッグスも研究しておく必要があります。

【スポーツをしている子どもの疲労骨折】

疲労骨折はプロイセンの軍医ブライハウプトが1855年に報告し、プロイセン軍の軍人たちが行進して中足骨を疲労骨折したことから行軍骨折と名づけられました。例えば、陸上部やバレエ・ダンサーで急に練習量が増えると、中足骨の疲労骨折や脛骨の疲労骨折が頻繁に起こります。

疲労骨折の身体診察に使われるのは音叉テストです。音叉を鳴らした状態で疲労骨折が疑われる骨に当てると、患者さんは痛みが増悪してピクっと動きます。ある小規模な研究では、音叉テストの感度は75パーセント、特異度も67パーセント、陽性の予測は77パーセントで、陰性の予測は63パーセントの確率で脛骨疲労骨折を予測できました(※3)。

※3:「疲労骨折:診断、治療、予防」
Stress Fractures: Diagnosis, Treatment, and Prevention
DEEPAK S. PATEL, MD
Am Fam Physician. 2011 Jan 1;83(1):39-46.
http://www.aafp.org/afp/2011/0101/p39.html

また、片足跳びテストでは片足に体重をかけてピョンピョン飛ぶことで、局所の深刻な痛みが出たら陽性となり、疲労骨折を疑います。特に疲労骨折では痛みをともなう歩行が普通(81%)であり、限局した圧痛(65.9-100%)と浮腫(18ー44%)を損傷した局所に見られます。疲労骨折では急激な運動量の増大などのオーバーユース歴、局所の圧痛、片足ホップテストや音叉テストで陽性なら精密検査に送ります。

以上、バレエやサッカーなどのスポーツをやっている子どもの下肢痛を診療する際の骨肉腫、成長痛、疲労骨折鑑別のEBMです。

骨肉腫のハイリスク要素は、若い年齢での放射線の被ばくです。だから、できるだけこどもの下肢にX線はあてないほうが良いです。X線よりはMRIのほうが感度が高く、合理的です(※4)。

※4:「われわれは本当にこどもの非特異的なカカトの痛みを放射線診断しても良いのか?」
Do we really need radiographic assessment for the diagnosis of non-specific heel pain (calcaneal apophysitis) in children?
Kose OSkeletal Radiol. 2010 Apr;39(4):359-61 Epub 2009 Aug 12.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19672591/Therefore, obtaining radiographs as an initial step in their evaluation does not seem to be justified.

こどもの下肢痛の身体診察はまともな日本語文献がないので自分で研究するしかありませんでした。臨床的に超難問であり、ものすごく緊張します。こどもの下肢痛の診察の難しさは、中医学的な分析をやる前に西洋医学的な研究が絶対に必要です。

2006年「中医弁証による小児の成長痛の治療46例の臨床分析」
中医辨证治疗小儿生长痛46例临床分析
何晓升
《杭州师范学院学报(医学版)》 2006年05期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-HZYG200605007.htm
※中医辨证施治的46例小儿生长痛患者的临床资料进行回顾性分析。结果根据小儿生长痛的临床表现,将其分为肾精不足,脾肾虚弱,气血两虚和寒湿阻滞4型,然后采取相应的辨证施治。

中医学では、成長痛は痺証のカテゴリーに入り、陽虚や気虚、血虚、気滞血オなどで下肢の循環が夜に悪くなると夜間痛となります。推拿では「推法」「拿法」「按法 」「揉法」「点法」
を用います。

以下、引用。

有些兒童在夜間睡眠時,常常會感到大腿或小腿疼痛,疼痛的部位也沒有紅、腫、熱的現象,經過十幾分鐘後常常可以自行緩解,而白天卻沒有出現這種腿痛的現象,這種情況稱為兒童生長痛。

兒童生長痛屬於中醫「痹症」範疇,中醫認為陽氣不足或氣滯血瘀均可引起生長痛。下肢距離心臟較遠,當兒童睡眠時,夜晚屬於陰,如果本身陽氣不足,就會出現陽虛,下肢得不到充分的溫煦和氣血供養,氣血不流暢,會引起不通則痛。也有的兒童雖然陽氣不虛,但活潑好動,下肢勞累過度產生的廢物不能及時代謝,便會形成氣滯血瘀、不通則痛的情況。

有些人認為兒童生長痛多發生在兒童階段,過一段時間就沒有問題,從而忽視治療。中醫認為未病先防,有病早治,當身體出現某一些症狀的時候,提示體內存在一些問題,需要及時治療。腎為先天之本,脾為後天之本,陽氣不足多用溫腎健脾的方法治療;對於氣滯血瘀型的疼痛,可以採用理氣活血,舒筋止痛的方法治療。

推拿是中醫治療兒童生長痛的有效方法。由於兒童多懼怕針灸、中藥,可以採用推拿治療,應用推、拿、按、揉、點穴等手法,在腹部、背部、手和下肢進行辨證治療,在緩解疼痛的同時,又能起到調理臟腑氣血的功能。

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