刮痧によるマイコバクテリウム感染症

 
 
2021年11月4日『アナルス・オブ・デルマトロジー』
「皮膚をコインでこする刮痧によって起こった皮膚マイコバクテリウム感染症」
Sang-Woo Park et al.
Ann Dermatol. 2021 Dec;33(6):572-576. English.
Published online Nov 04, 2021.
 
 
 
韓国の美容院で刮痧を受けた35歳韓国人女性の症例であり、リンク先に写真があります。
 
以下、引用。
 
刮痧療法によって起こった皮膚のマイコバクテリウム・マシリエンスの最初の症例を報告します。
 
 
【マイコバクテリウムと『肺MAC感染症』:結核菌および非結核性抗酸菌の基礎知識】
 
マイコバクテリウム属の代表は結核菌です。
結核菌はグラム染色できず、酸による脱色に抵抗を示すので抗酸菌と呼ばれます。
抗酸菌といえば、昔は結核菌だったのですが、PCR法という遺伝子検査法によって、結核菌以外に多くの抗酸菌があることがわかってきました。これらを非結核性抗酸菌、非定型抗酸菌と言います。
 
 
これらの非結核性抗酸菌は現在、150種類以上があるとわかっており、結核菌はわずか5種類なので、実は非結核性抗酸菌のほうが多くて複雑性に満ちていることが2000年代にわかってきました。
 
 
非結核性抗酸菌(NTM)は水や土壌などの環境にも存在する常在菌です。本来はHIVなどの免疫力低下の場合にのみ日和見感染を起こします。
 
医学的に深刻な問題となるのは、マイコバクテリウム・カンサシ、マイコバクテリウム・マリヌム、マイコバクテリウム・スクロフラセイムなどのMACによる感染症です。
 
非結核性抗酸菌によるMAC肺症は結核菌よりも難治であることが知られており、アメリカのHIV感染者には最大の脅威です。
 
また、マイコバクテリウム・マリヌムは熱帯魚の水槽などからも感染するので、スイミングプール感染症や熱帯魚感染症と言われていました。傷ついた手で水槽を触ると、皮膚に結節などを形成します。また、日本のホット・スパなどでも皮膚の感染が報告されています。
 
 
エタノール消毒はもともと結核菌などのマイコバクテリウム消毒から生まれましたから、エタノール消毒でしょうか。
 

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