『人の生きた筋膜の構造(DVD付き) 内視鏡検査を通して示される細胞外マトリックスと細胞』
Jean-Claude GUIMBERTEAU (著)
竹井仁 (翻訳)
医道の日本社 (2018/2/15)
ジャン・クロード・ギンベルトー博士の写真と文章は本当に素晴らしいです。2015年に出版された英語文献の翻訳です。
Architecture of Human Living Fascia: The Extracellular Matrix and Cells Revealed Through Endoscopy
Handspring Pub Ltd (2015/10/19)
でてくるキーワードは、数学者ブノワ・マンデルブロのフラクタル理論や建築家バックミンスター・フラーのテンセグリティ、化学者イリヤ・プリゴジンの自己組織化、カオス理論、複雑性、非線形科学です。
しかし、ギンベルトー博士の撮影した衝撃的なファッシャの映画を観て私が思い浮かべた言葉はリゾーム(地下根茎)です。まさに皮膚の下という地下に、超複雑な動く、生きて自己生成・自己組織化するネットワークがあります。
最終章の「秩序と線形が非常に効果的であることが証明されていても、なぜ不規則で、カオス的で、フラクタルな非線形組織があるべきなのか」という文章は、手の外科・形成外科医として職人として生きてきたギンベルトー博士の経験からの哲学的思索であり、本当に読んで良かったと思いました。
『人の生きた筋膜の構造』は解剖学書であると同時に一流の哲学書です。
同時にボディワークについて、いろいろ考えました。私はアレキサンダーテクニークのレッスンを経験しても「言葉で説明できない」と感じていました。アレキサンダー・テクニーク、フェルデンクライス、ロルフィングなどのボディワークは線形言語で説明できません。ギンベルトー博士の映画をみた人にはおわかりいただけると思いますが、ファッシャを言語で説明するのは、ほとんど不可能です。
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