片側顔面けいれんの針治療

2021年2月に受診した50代女性で、2015年に他の病院で片側顔面けいれんと診断されています。左顔面の明らかな痙攣と両側の顎関節痛があります。耳鳴り、めまい、頸部痛、頭痛もあります。抗けいれん薬、カルバマゼピンとカッサなどの代替医療を1年受けていますが、軽減していません。

合谷、魚際、けんりょう、下関、印堂、百会に刺鍼します。
電気鍼は、合谷ー魚際、けんりょうー下関に2Hzで30分間通電し、週に2回、最初の10週間で20回の鍼治療を行います。

以下、引用。

治療して10週目で患者の顔面けいれんの深刻さと回数は緩和した。

治療して30週目で顔面けいれんがなくなっただけでなく、耳鳴り、めまい、頸部痛、頭痛も顕著に減少した。

けんりょうー下関の局所治療と合谷ー魚際の遠隔治療を組み合わせ、その理由をディスカッションの部分で論じています。

以下、引用。

その上、127人の片側顔面けいれんの患者の別の研究は、局所の火鍼と遠隔鍼が片側顔面けいれんの症状を緩和することをしめした。

しかしながら、局所の刺激、顔面神経の電気刺激は神経の過活動を起こし、けいれんを悪化させる。

片側顔面けいれんについて西洋医学的によいと思われるのは、以下のスタットパールスでした。ボトックス注射が使われます。

2022年4月14日『スタットパールス』
「片側顔面けいれん」
Hemifacial Spasm
Tripti R. Chopade 1, Pradeep C. Bollu 2
In: StatPearls 2022 Apr 14.

2012年に鍼のメタアナリシスが発表されています。

2012年
「顔面けいれんの鍼の効果：メタアナリシス」
Effectiveness of acupuncture in treatment of facial spasm: a meta-analysis
Qiang-ping Wang　et al.
Altern Ther Health Med
. May-Jun 2012;18(3):45-52.

2019年に鍼のシステマティックレビューのプロトコルが発表されています。

2019年12月20日
「片側顔面けいれん患者の鍼治療法：システマティックレビューとメタアナリシスのプロトコル」
Acupuncture therapy for patients with hemifacial spasm
A protocol of systematic review and meta-analysis
Han Yang,et al.
Medicine (Baltimore). 2019 Dec; 98(51): e18329.
Published online 2019 Dec 20.

漢方では以下の論文があります。

2013年「大承気湯加茵蔯蒿が著効した片側顔面痙攣の1症例」
福田 知顕, 川鍋 伊晃, 及川 哲郎, 花輪 壽彦
『日本東洋医学会雑誌』2013 年 64 巻 4 号 p. 222-226