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『医心方』巻二鍼灸と『明堂』

 

『医心方』巻二鍼灸は『明堂』を引用して「孔穴」つまりツボの主治を論じています。

《针灸甲乙经》序
取黄帝《素问》、《针经》、《明堂》三部之书,撰为《针灸经》十二卷,历古儒者之不能及也。或曰:《素问》、《针经》、《明堂》三部之书,非黄帝书,似出于战国。

 


『黄帝三部鍼灸甲乙経』は『素問』『霊枢(鍼経)』『明堂』の三部をまとめたものとして、『明堂』の名前が初出しています。

馬王堆医書では、十一経脈だったものが『霊枢』経脈篇で十二経脈となります。経穴は140穴前後に増えます。

そして、後漢あたりでオリジナルの原『明堂』が書かれて、349穴に増えたと考えられますが、散逸して残っていません。

『黄帝三部鍼灸甲乙経』は349穴が記載され、原『明堂』を引用しています。『千金方』『千金翼方』『外台秘要方』なども明堂を引用しており、『医心方』も『明堂』を引用しています。

 

日本の仁和寺に、唐代、楊上善著『黄帝内経明堂』が巻一のみ現存して、国宝となっています。

 

1963年、旧ソ連『アジア民族研究所所蔵敦煌漢文写本解説目録』が出版され、この中に敦煌で発見された『明堂』が含まれていました。エルミタージュ博物館・ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部が所蔵しています。これは南北朝時代の5世紀頃の『明堂』と考えられます。

 

さらに、1980年代に前田尊敬閣文庫から仁和寺本よりも状態の良い『明堂』が発見されました。

『尊経閣文庫所蔵の「黄帝内経明堂」最善古鈔本』
小曽戸洋『日本医史学雑誌』 32 (2), p234-236, 1986-04

 

経絡・経穴を研究する際に原『明堂』が問題となり、『医心方』は唐代、楊上善『黄帝内経明堂』を引用しているため、経穴の歴史的研究に非常に重要となります。

 

 

 

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