MENU

鍼の表面状態に関する研究

2014年オーストラリア ロイヤル・メルボルン工科大学(RMT)
「一般的に使用されているステンレス製の鍼の表面状態およびその他の物理的特性の調査」
Examination of surface conditions and other physical properties of commonly used stainless steel acupuncture needles
Yi Min Xie et al.
Acupunct Med. 2014 Apr; 32(2): 146–154.
Published online 2014 Feb 12.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3995252/

 

 

写真の説明はありません。

 

 

2022年12月31日
韓国政府 韓国産業技術振興院(KIAT) 嘉泉大学校韓医学部鍼灸科
「韓国で使用される様々な使い捨て鍼の形態学的および化学的分析」
Morphological and Chemical Analysis of Various Disposable Acupuncture Needles Used in South Korea
Dong Yong Park et al.
J Pharmacopuncture. 2022 Dec 31; 25(4): 382–389.
Published online 2022 Dec 31
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9806154/

 

以下、引用。

正常な鍼と比較して、欠陥のある鍼の鍼の尖端にはシリコン・コーティングの組成の元素が含まれていた。

付け加えると、剥がれたシリコンコーティングの鍼の先端の表面は、皮膚に入ると皮膚反応を引き起こすかも知れない。

 

2014年1月17日に「シリコン・コーティングされた鍼によるシリコン肉芽腫」という論文が『皮膚科の臨床研究雑誌』に掲載されました。書いたのはアイオワ大学、皮膚科のアマンダ・J・シャッターさんです。

 

2014年「シリコン・コーティングされた鍼によるシリコン肉芽腫」
Silicone Granulomas in the Setting of Acupuncture with Silicone-Coated Needles
Journal of Clinical & Investigative Dermatology  Volume: 2, Issue: 1

 

2020年には、アメリカで眼窩周囲の顔面部の鍼によるシリコン肉芽腫が報告されています。

 

2020年6月24日
「鍼の30年後の眼窩周囲シリコン肉芽腫」
Periorbital Silicone Granulomatosis 30 Years after Acupuncture
Nathan Pirakitikulr et al.
Case Rep Ophthalmol Med. 2020; 2020: 6323646.

シリコン肉芽腫は、かつて豊胸手術や整形手術をした際に起こっていました。シリコンは人体には異物であり、異物が侵入すると人の免疫細胞は異物を排除するために集まって炎症を起こします。また、ナイフや銃弾のように分解できない異物は被包と言って、免疫細胞で包んでしまいます。異物を免疫細胞で包み、肉で包んだような状態が肉芽種です。

 

現在、ほとんど全ての西洋医学の注射針はシリコンコーティングされていますが、1回使い捨てです。「シングル・ユース・ディスポーザブル鍼」も製品の設計目的通りに単回使用だけなら鍼尖は損傷しないし、シリコンの皮膚残留の可能性はほとんど無いと思います。

 

問題は、鍼尖の研磨に問題がある場合と、鍼を単回ではなく何回も使う場合だと思われます。プロフェッショナルなら自分の使う道具に関するリスク管理の知識を持つべきであるし、本来は教科書に掲載されるべき知識だし、卒後教育の中で学ぶべき知識だと思います。

 

ちなみに鍼によるシリコン肉芽腫の1例目は、日本で発見・報告されました。発見から20年以上たってもリスク・マネジメントの知識が共有されていないのは不思議な印象があります。

2001年 金沢医科大学の柳原誠
「鍼を入れたツボでのシリコン肉芽腫」
Silicone granuloma on the entry points of acupuncture, venepuncture and surgical needles
Journal of Cutaneous Pathology Volume 27, Issue 6, pages 301-305, July 2000

 

2例目は2001年に59歳の白人女性で報告されています。

2001年 スローン・ケッタリングがんセンターのローダ・アラニ
「鍼のシリコン肉芽腫」
Acupuncture granulomas
Journal of the American Academy of Dermatology
Volume 45, Issue 6, Supplement , Pages S225-S226, December 2001

 

写真の説明はありません。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次