「春季花粉症の病態像ー有効漢方方剤に基づく検討」
三浦 於菟et al.
『日本東洋医学雑誌』2001 年 52 巻 2 号 p. 191-205
以下、引用。
通説とは異なり、花粉症の東洋医学的病態は寒証という単一なものではなく種々の病態が存在 するといえる。
特に透明鼻汁は全体の約85%を占め、辛涼群でも約半数にみられた。辛温剤の多用という通説 はこの透明鼻汁を寒証と判断するためと思われる。更に約半数に易感冒症と胃腸の不調者がみられ、虚証体質者の存在が次の特徴といえる。
以上より、 混合群は寒証と熱証が混在し寒熱錯雑証といえる。換言すれば、両群の特徴が混在 し、両群の要素を有しているともいえよう。中川もまた花粉症には寒熱錯雑の病態が多いと述べているが、これは本群を指していると思われる。
春季花粉症の病態の複雑さがよく描写されていると思います。
以下、引用。
春季花粉症患者の漢方治療が有効であった69例 (男24名女45名) を有効方剤に基づき分類し、花粉症発生時期、自他覚症状などを比較し、それらの東洋医学的病態を分析する事で花粉症の病態像を検討した。その結果、以下の3群と特殊な病態群 (4例) に分類された。
すなわち
(1)辛温解表剤有効群 (23例)。本群は1月下旬より2月中旬に初発し、多くは虚証の素因を有し、風寒証の花粉症と考えられた。(2) 辛涼解表剤有効群 (22例)。本群は2月中旬以後の初発が多く、外感風熱証症状を呈し多くは実証で、温邪は弱く風邪が強い温病の風温証の花粉症と考えられた。
(3) 混合群 (20例)。本群は辛温解表剤と辛涼解表剤の混合群であり、虚証の素因は少なく、 辛涼群と辛温群の特徴が混在する寒熱錯雑症状を呈し、温病の風温証に寒邪が客した兼証ではないかと考えられた。
この論文は春季花粉症の病態を東洋医学的に把握するのにものすごくヒントになります。
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