2018年12月18日『ライブサイエンス』
「オピオイドは、慢性痛には本当に効かないと、メタアナリシスは発見した」
Opioids Don’t Really Do That Much for Chronic Pain, Meta-Analysis Finds
以下、引用。
新しい研究によると、 処方オピオイド薬は中毒や過剰摂取のリスクを伴うだけでなく、慢性疼痛のある患者にもほとんど効果がないようです。
この研究は癌に起因しない慢性疼痛を有する人々にとって、処方オピオイド薬、プラセボと比較して疼痛、身体機能および睡眠の質のほんのわずかな改善に関連していることを見出した。
この研究は12月18日、ジャーナルJAMAに「アメリカのオピオイド使用流行:5つの驚くべき事実」として掲載されました。
2018年12月18日『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』
「非がん性の慢性疼痛へのオピオイド:システマティックレビューとメタ分析」
Opioids for Chronic Noncancer Pain:A Systematic Review and Meta-analysis
Jason W. Busse, et al.
JAMA. 2018;320(23):2448-2460. doi:10.1001/jama.2018.18472
一度、アメリカのオピオイド・クライシスを調査した際に、整形外科疾患へのオピオイドの効果のEBMを調査しました。結果は衝撃的で、慢性腰痛、股関節痛、慢性膝痛に対してオピオイド鎮痛剤は無効でした。
2018年3月『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』
Effect of Opioid vs Nonopioid Medications on Pain-Related Function in Patients With Chronic Back Pain or Hip or Knee Osteoarthritis Pain: The SPACE Randomized Clinical Trial.
Krebs EE,et al.
JAMA. 2018 Mar 6;319(9):872-882. doi: 10.1001/jama.2018.0899.
この論文の結果は日本語記事にもなっています。
2018年4月23日『メディカルトリビューン』「整形外科の痛みにオピオイドは必要か」
以下、引用。
これらの疾患の国際治療ガイドラインでは、総じてオピオイド鎮痛薬の使用には否定的である。背景には薬物依存、過剰摂取による死者数の増加が挙げられる。
慢性的な腰痛および変形性関節症痛に対するオピオイドの鎮痛作用に対する否定的な結論で、予想通り有害事象の増加が指摘されている。
事実、本論文においても活性対照であるはずの非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAID、当然ながらガバペンチノイド)も、これら整形外科一般疾患の慢性疼痛には無効であるか有効性は最小限であるという結果は注目すべきではある。
むしろ、オピオイド鎮痛剤を使うと慢性疼痛を悪化させるという論文が次々と発表されています。「オピオイド鎮痛剤の投与はミクログリア細胞が活性化することによって神経障害性疼痛を悪化させる」ようです。
2016年4月 コロラド大学 『アメリカ科学アカデミー紀(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences)』に発表
Morphine paradoxically prolongs neuropathic pain in rats by amplifying spinal NLRP3 inflammasome activation
Peter M. Grace et al.
Proceedings of the National Academy of Sciences
vol. 113 no. 24 , E3441–E3450 April 19, 2016
これは本当に面白いです。鍼の鎮痛効果はナロキソンで拮抗されることからオピオイドによるものと考えられてきました。しかし、アメリカではオピオイド減量の切り札として鍼が慢性痛患者に使われています。
オピオイド(アヘン)鎮痛剤は、沖縄戦の記録を読むと手足や顔を吹っ飛ばされた兵士に投与すると兵士は鎮痛され、眠ります。また、末期ガンの鎮痛に使われます。手足や顔がちぎれた痛みや末期ガンの痛みは鎮痛できるのに、鍼灸師が治療する慢性腰痛は鎮痛できないのは直感に反していますが事実です。慢性疼痛はまだ全く理解されていないのです。
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