デイビッド・F・メイヤー(David F Mayor)著
『Electroacupuncture: clinical practice, 1e』
エルゼビア 2007年
現代の西洋医学的鍼、メディカル・アキュパンクチャーは鍼麻酔・電気鍼の研究から生まれました。今でも動物実験など基礎医学分野は電気鍼ばかりです。
私は実際に筑波式低周波鍼療法(EAT:Electric Acupuncture Therapy)の筋パルスで全身のあらゆる筋肉に電気鍼をして、さらに神経パルスを練習したことが西洋医学分野の鍼灸技術の自信になりました。また、鍼鎮痛の理論を研究する際に電気鍼の実技が超マニアックにできることはものすごくプラスになります。
筑波式パルス鍼では100Hzの断続波や1Hz~2Hzの連続波など電気鍼の周波数を使い分けます。しかし、なぜ使い分けるのかの理論がありませんでした。
北京医科大学の韓済生教授やカナダ・トロント大学の故・ブルース・ポメランツ教授の鍼麻酔研究によれば、1~2Hzではエンドルフィン、100Hzではダイノルフィンが出ます。急性痛には100Hzを用います。慢性痛には治療の蓄積効果のある2Hz連続波通電を用います。韓済生教授は腰椎椎間板ヘルニアなどには2Hz/100Hzの疎密波を使われていました。
このデイビッド・F・メイヤー著、『Electroacupuncture: clinical practice, 1e』は、周波数だけでなく、波形の棘波と矩形波などの波形の違いや、良導絡のような直流電気鍼と一般的な交流の電気鍼の違いなど、電気鍼の基礎から書かれているのが素晴らしいです。
初心者時代に電気鍼を研究して、解剖学的な筋肉と神経が頭に入ったことと、鍼鎮痛の生理学が肌で理解できたことが大きかったです。さらに、トリガーポイント鍼療法を実技として学んだことで、筋肉の体表解剖や触診、筋骨格疾患に自信がもてました。電気鍼とトリガーポイント鍼療法にはたくさんのテクニカルな刺鍼技術があります。
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