2016年「肩インピンジメント症候群の鍼:ランダム化比較試験」
Acupuncture treatment of shoulder impingement syndrome: A randomized controlled trial
Rueda Garrido
Complementary Therapies in Medicine
Volume 25, April 2016, Pages 92-97
以下、引用。
【結論】
インピンジメント症候群への鍼の治療は安全で信頼できるテクニックであり、顕著な臨床結果をもたらすのでヘルスケアサービスの選択枝として実装することができる。
水泳選手がクロールをしたりピッチャーが肩を上げると痛むのが肩のインピンジメント衝突症候群です。インピンジメントとは「衝突」の意味があり、棘上筋腱板が烏口肩峰靱帯に衝突して痛むと考えられていました。
歴史的には1972年にオクラホマの医師、チャールズ・ニアー2世が回旋筋腱板と烏口肩峰靱帯の衝突が慢性インピンジメント症候群の原因であると論じ、外科手術法を論じました。
1972年「肩の慢性インピンジメント症候群の前方形成術:予備的研究」
Anterior acromioplasty for the chronic impingement syndrome in the shoulder: a preliminary report.
Neer CS 2nd.
Bone Joint Surg Am. 1972 Jan;54(1):41-50.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5054450
ニアーテスト(ニアー・サイン)
Neer Sign – Shoulder Rotator Cuff Impingement Special Test
https://youtu.be/ZZPE1Je-hwU
1974年にケネディとホーキンスが水泳肩を提唱しました。
1974年「水泳肩」
Swimmers shoulder.
Kennedy JC, Hawkins R.
Phys Sports Med 1974;2:34–38.
https://ci.nii.ac.jp/naid/10019235261/
1980年にホーキンスとケネディがアスリートの衝突症候群でホーキンス・ケネディ・テストを提唱しました。
1980年「アスリートのインピンジメント症候群」
Impingement syndrome in athletes.
Hawkins RJ, Kennedy JC.
Am J Sports Med. 1980 May-Jun;8(3):151-8.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7377445
ホーキンス・ケネディテスト
Hawkins-Kennedy test
https://www.youtube.com/watch?v=3LU1xsUrKV4
2018年10月にイギリスの医師グループが発表した論文は素晴らしい内容でした。
2018年10月「肩峰下滑液包インピンジメント症候群:マネージメント・チャレンジ」
Subacromial impingement syndrome: management challenges
Paolo Consigliere et al.
Orthop Res Rev. 2018; 10: 83–91.
Published online 2018 Oct 23. doi: 10.2147/ORR.S157864
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6376459/
以下、引用。
まず最初に、回旋筋腱板のダメージ(インピンジメント症候群)が衝突、または衝突による腱損傷で起こるということはいまだに明らかではない。
今日では肩峰下滑液包インピンジメント症候群の病理は不確かであるとみなされおり、その治療は混乱している。
ニアーがインピンジメントを1972年に描写して以来、嚢胞切除による肩峰形成術は保存療法に反応しない患者にとってのゴールドスタンダードとなった。昨年、著者たちは肩峰下インピンジメント症候群(SAIS)の必要性にチャレンジしている。
保存療法は症例の60%で、2年間で結果を残している。研究は肩インピンジメント症候群の保存療法で、患者の問題の70-90パーセントが改善をみせていた。
ランダム化比較試験の結果、過去15~20年で肩痛の病理学の理解に進歩がみられた。ニアーが描写したインピンジメントという概念は今日では時代遅れに見える。
これらの理由から、インピンジメント症候群の代わりに前外側肩痛症候群という名前に変更することが提案されている。
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