【鍼灸EBM】妊娠するための鍼

 

 

2018年5月16日カナダ・ケベック州の新聞『ル・ソレイユ(Le Soleil)』
L’acupuncture pour tomber enceinte?
「妊娠するための鍼?」

 

2008年と2013年のアメリカのメリーランド医科大学の研究者、エリック・マンハイマーの不妊治療の鍼研究を記事中でとりあげています。

もともと、2008年にマンハイマーが『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に体外受精した胚を戻す前後に鍼をすると妊娠率が高くなると発表したことから西洋での不妊症の鍼ブームが到来しました。

 

そして、2013年に再びエリック・マンハイマーが「The effects of acupuncture on rates of clinical pregnancy among women undergoing in vitro fertilization: a systematic review and meta-analysis. (体外受精を行っている女性の臨床的妊娠率における鍼の影響:システマティック・レビューとメタ分析)」という研究を『ザ・ジャーナル・オブ・ヒューマン・レプロダクション』に発表します。

「鍼の効果は限定した形であり2008年に発表した研究ほどの効果ではない」「もともと妊娠率の低いクリニックでは高い妊娠率となったのであり、統計的有意差がくっきり出ない」との分析が報道されました。

 

しかし、同じく2013年にスウェーデンのエリザベス・シュテルナー=ヴィクトリンが「鍼をすることで子宮の血液循環が改善される」という一連のメカニズム研究も発表しています。

Polycystic ovary syndrome: effect and mechanisms of acupuncture for ovulation induction.
Johansson J, Stener-Victorin E.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:762615.

Acupuncture and physical exercise for affective symptoms and health-related quality of life in polycystic ovary syndrome: secondary analysis from a randomized controlled trial.
Stener-Victorin E,
BMC Complement Altern Med. 2013 Jun 13;13:131.

 

昨日お伝えした記事では「人工受精をしている女性の真鍼と偽鍼は、排卵誘発と胚移植において顕著な違いはみられなかった」と結論付けられており、この分野は今も激論が続いています。

 

 

 

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