以下、引用。
アメリカで起こっていることを理解するために、私が導入しなければならなかった概念が一つあります。それは「ニヒリズム(虚無主義)」という概念です。この言葉は、スペルで正確に理解しておきましょう。ニヒリズムとは「NIHILISM」と書きます。この言葉は、1930年代にドイツが陥った狂気を理解するために使われた概念です。【西洋はもはや世界の嫌われ者である】
2023年ー2024年の伝統医療・補完代替医療の情報収集と分析をしていると、現在の西洋世界とそれ以外の世界で、まったく異なる世界観であることがみえてきました。このような現状を分析するのに役に立ったのは、フランスのエマニュエル・トッドの分析でした。
また、2023年のフランスはアフリカで次々と軍隊を撤退させ、フランス軍が撤退した国にはロシアと中国が入り込み、マクロン大統領は「フランサフリック(フランスによるアフリカ支配)時代は終わった」と演説しました。
アフリカにおけるフランサフリック時代の終焉により、英語圏よりフランス語圏の知識人であるエマニュエル・トッドのほうが、より早く西洋世界の現実を分析できたのだと思います。わたしもアフリカにおける中国鍼灸の拡大を分析しなければ、この認識には至らなかったと実感します。今後は、非=西洋世界の鍼灸や補完代替医療の情報収集や分析に重点をシフトします。
現代の西洋世界の価値観が狂っており、ニヒリズムのブラックホールが広がっているという確信を得たのは、西洋世界の医療における安楽死の急激な合法化の拡大という情報に触れたときです。
西洋世界におけるニヒリズムのブラックホールの拡大と極右勢力の伸長に対するエマニュエル・トッドの処方箋は「歴史感覚を取り戻すこと」です。この処方箋は読んでいて感動しました。
以下、引用。
何よりもまず、私たちは謙虚でなければいけません。私たちは「歴史とは何か」という感覚を取り戻さなければなりません。西洋思想や標準的な西洋イデオロギーの中心的な問題点の一つは、歴史意識の驚くほどの低下です。私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生きのびてきたのか」「何をなしとげてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。
文化的な変化の激流の中で自らのアイデンティティを見失ったのが、近代の終着点である現代ポストモダンの西洋世界です。
偽りの記憶としての歴史に逃避するのではなく、「自分たちがどこから来たのか」をみつめて考え続けることが今後の個人的な生存戦略だと感じました。
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