アレルギー性鼻炎:舎巌鍼法プラス迎香の電気鍼

2011年2月 韓国東洋医学研究所
鼻副鼻腔炎と喘息の混ざった通年性アレルギー性鼻炎患者の鍼治療
Acupuncture Treatment of a Patient with Persistent Allergic Rhinitis Complicated by Rhinosinusitis and Asthma
Ae-Ran Kim, et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2011; 2011: 798081.
Published online 2011 Feb 10. doi: 10.1093/ecam/nep240

以下、引用。

鍼と電気刺激と赤外線照射療法を週に2回、5週間行った。肺虚にともなう鼻および鼻腔の気血停滞と診断された。

主要な局所鍼は、上星(GV23)、印堂(EXー1)、両側の迎香(LI20)と合谷(LI4)を用いた。上星(GV23)と印堂は、鼻に向けて横刺で0.2寸の深さで刺した。

両側の迎香(LI20)は斜刺で挿入し、同側の鼻孔に0.3寸の深さで刺した。両側の合谷(LI4)は、直刺で0.5寸の深さに刺した。

それらのツボは雀啄や捻鍼を行い、患者が得気を感じた。

付加的な鍼として、左の太淵(LU9)、太白(SP3)、魚際(LU10)、少府(HT8)を使った。鍼は太淵(LU9)は長母指外転筋とパラレルに遠位に向けての斜刺であり、太白(SP3)は踵に向けて第1中手骨に沿った方向である。魚際(LU10)は、手首の中手骨に沿った方向で、少府(HT8)は手首に向けて第4・第5中手骨に沿って刺入した。これらは韓国の舎岩鍼法の治療である。

韓国の舎岩鍼法(サアムチム)は、肺虚証(肺の正格)には難経六十九難の母子関係から「太淵(LU9)・太白(SP3)の補法、魚際(LU10)・少府(HT8)の瀉法」を用います。韓国の舎岩鍼法にも多くの流派がありますが、この流派では左側と片側のみで迎随補瀉しています。

そこに、上星(GV23)、印堂の横刺、合谷(LI4)の直刺と、迎香(LI20)の電気鍼を使っていました。迎香は鼻の穴に向けての方向の斜刺でした。迎香の電気鍼だけでなく、舎岩鍼法と組み合わせているのが韓国独特だと感じました。

西洋医学のアレルギー性鼻炎と鼻副鼻腔炎と副鼻腔炎は異なる病態です。

アレルギー性鼻炎は中医学古典の鼻鼽のカテゴリーに入ると思います。副鼻腔炎、または蓄膿は中医学古典の鼻淵のカテゴリーに入ります。鼻鼽は清涕といって透明な鼻水が流れます。鼻淵は鼻流濁涕といって黄色い膿のような鼻水が流れます。感染症による鼻副鼻腔炎は新しい概念であり、現代中国語の鼻窦炎に該当するようです。

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