臓躁

脏躁

中医学では『金匮要略』で「臓躁(ぞうそう)」の概念が初出しています。

『金匮要略』婦人雑病脈証併治第二十二では「婦人の臓躁では喜悲に傷つけられて哭かんと欲し、その様は神霊に取り憑かれたかのようであり、よくアクビするものは甘麦大棗湯がこれを主る」とあります。

清代の1729年、尤怡著『金匮要略心典』では臓躁を以下のように論じています。

臓躁は沈氏が言うには「子宮の血虚」であり風を受けて化熱するのである。血が虚して内臓が乾燥するのである。内火がかき乱して精神が不安定となる。悲に傷つけられて哭かんと欲する。神霊に取り憑かれたようである。実証にして虚病である。邪哭して魂魄が不安なのは血気が少なくて病は心に属する。よくアクビするのは腎臓である。腎はアクビとクシャミとなる。思うに五志は化火し、動ずれば必ず心と関連して臓陰を損傷する。悪化すれば必ず腎臓に及ぶ。小麦は肝臓の五穀であり心を養う。甘草・大棗は甘味で陰を養い滋潤し、臓腑を滋潤することで乾燥を止める。

関西中医鍼灸研究会では邵輝先生が臓躁に間使・三陰交を使われていましたが、これは心包と腎陰・肝陰へのアプローチかな、と思いました。

《针灸大成》心邪癫狂门
http://zhongyibaodian.com/zhenjiudacheng/1043-11-8.html
心邪癫狂:攒竹 尺泽 间使 阳溪。

『鍼灸大成』の心邪癲狂門を読むと、しばしば間使(火経の金穴)と陽渓(金経の火穴)が使われていることに初めて気づきました。それ以外にも、陽谷や支溝、解渓や商丘と経火穴と経金穴が非常に多いことにも初めて気づきました。このような経穴の使い方は、どのような文献にも書かれていません。肘から先・膝から下のツボだけでの刺鍼に凝っている自分にとっては最高のヒントをいただきました。腕踝鍼は中国の精神病院で開発されたために、中国では例外的な無痛の横刺で響かせない鍼で、手首・足首を使います。

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