陰陽太極鍼

北海道の帯広市、東方鍼灸院の吉川正子先生の論文をひととおり読ませていただきました。
眼科における標本根結理論の応用は私もよく利用しています。

「眼科疾患の鍼灸治療」
吉川正子『東洋医学鍼灸ジャーナル』 27(-), 68-77, 2012-07
https://ci.nii.ac.jp/naid/40019371302

吉川先生の陰陽太極鍼について2018年に面白い論文がありました。

「女性の骨盤痛に対する対角線上の穴の鍼治療」
佐野 敬夫『心身医学』2018 年 58 巻 8 号 p. 703-707
https://www.jstage.jst.go.jp/…/jj…/58/8/58_703/_pdf/-char/ja
(オープンアクセス)

骨盤痛は西洋医学で注目されている概念です。この論文は100名の骨盤痛(妊婦55例!)に遠隔の陰陽太極鍼を行った症例に関する学術講演であり、妊婦の鼡径部痛や恥骨結合痛、尾骨痛はかなり難しいと思います。

北京中医薬大学教授の王文遠先生の平衡鍼の肩痛穴は経外奇穴の中平穴であり、 王文遠先生御自身が中平穴による症例報告の論文を1989年に発表されています。やはり、交叉取穴であり、右肩関節痛に左中平穴を刺します。

「肩関節周囲炎2099例の中平の奇穴の刺鍼」
针刺中平奇穴治疗肩周炎2099例
王文远《中国医药学报》 1989年06期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-BXYY198906014.htm

吉川正子先生が参考にされた王文遠先生の五十肩に愛用されている秘密の王穴は、
別名、腎関穴であり、なんと台湾の名鍼灸師の董景昌先生の董氏奇穴だそうです。今回、初めて知りました。陰陵泉の下1.5寸だそうです。董景昌先生も肩関節周囲炎に使われていたようです。

董景昌先生は1973年8月に出版された「菫氏鍼灸正経奇穴学」で有名です。

2014年「腎関穴による肩関節周囲炎の治療の臨床研究」
肾关穴治疗肩周炎的临床研究
毛杰 《广州中医药大学》 2014年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-1014360311.htm

このyoutube動画では天皇副穴として腎開穴に刺鍼しています。天皇穴とは陰陵泉のことです。

【陰陽太極鍼鍼の研究のための年譜】

1971年「はだしの医者教材」を翻訳。水俣病の視力障害治療に関わり、『苦海浄土』の石牟礼道子の勧めで鍼灸師に。
1976年、東京高等鍼灸学校卒業。
1977年、東京・板橋区で開院。
1981年、北海道、帯広市に移転。
1998年、世界鍼灸学会(WFAS)にて「陰陽太極鍼」発表。(最優秀賞受賞)
2000年、「臨床日本鍼灸と中医学・鍼灸学理論の結合を」
吉川正子『中医臨床』 21(1): 38-39, 2000.

「日本臨床針灸に中医学・針灸学理論を取り入れよう」
吉川正子『中医臨床』 21(2): 208-211, 2000.

2005年「日本伝統鍼灸に中医理論を応用した眼科治療」
吉川正子『中医臨床』 26(3): 331-333, 2005.

2006年「鍼灸医学の可能性は計り知れない! -てんかんの1症例-」
吉川正子『医道の日本』 65(5): 67-70, 2006.

2008年「陰陽論で考える鍼灸取穴法」
吉川正子『東洋医学鍼灸ジャーナル』2008年4巻、23-31ページ

2009年「日本鍼灸にとって中医学とは何か(前編) 臨床家はどう活用しどう超えているか」
石原克己、篠原昭二、吉川正子、松田博公
『東洋医学鍼灸ジャーナル』2009年7巻、7-25ページ

「日本鍼灸にとって中医学とは何か(後編) 臨床家はどう活用しどう超えているか」
石原克己、篠原昭二、吉川正子、松田博公
『東洋医学鍼灸ジャーナル』6巻、9-27ページ

2011年6月
陰陽太極鍼~陰陽論で考える鍼灸取穴法の実際~ 基礎篇―誰でもできる刺さずに置くだけの鍼 (<DVD>)
ヒューマンワールド

2012年
「眼科疾患の鍼灸治療」
吉川正子『東洋医学鍼灸ジャーナル』 27(-), 68-77, 2012-07

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