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防風通聖散とレプチンと抑うつ症状

 

 
2015年「抑うつ症状に防風通聖散が有効であった一例」
沢井 かおり, 渡辺 賢治
『日本東洋医学雑誌』2015 年 66 巻 3 号 p. 203-207
 
 
防風通聖散は内臓脂肪をとる「ナイシトール」として、漢方の痩せ薬として有名です。
 
以下、引用。
 
防風通聖散はメタボリック症候群の治療薬として広く知られている。精神科領域では合併症としての肥満治療に用いられるが、精神症状そのものに主方として奏効した報告はほとんどない。
症例は63歳のうつ病男性で、主訴は抑うつ症状である。特にきっかけなく抑うつ症状が増悪し、本が読めず好きな読書を楽しめなくなった。男性更年期を疑い、漢方治療を希望して受診した。やや実証、やや熱証、気滞、血虚と診断し、排便困難感を重視して防風通聖散を開始した。8週後本が読めるようになり、3ヵ月後には読書やテレビに集中できるようになった。その後下痢傾向になったため内服を漸減し、10ヵ月後終診となった。
防風通聖散は肥満治療のみならず、証によっては精神症状そのものに応用できる可能性が示唆された。
 
 
著者の沢井かおり先生は、防風通聖散による抑うつ症状の改善を「防風通聖散によるレプチンへの影響ではないか」と論じられています。
 
 
2018年の『薬学雑誌』では、防風通聖散の抗肥満の薬理作用は、まさにレプチンとの関連で論じられています。
 
 
 
2018年「糖尿病態モデル及び肥満症モデルに対する防已黄耆湯及び防風通聖散の薬理作用機序」
古林 伸二郎 日本薬学会『薬学雑誌』 138(3)、389-403、2018
 
 
 
金元四大家の劉完素先生の『宣明方論』で防風通聖散は初出しています。
 
 
防风通圣散・・・治风癎日发作有时扬手掷足口吐痰涎不省人事暗倒屈伸
 
 
明代、龔廷賢(きょうていけん)著、『万病回春』の防風通聖散は、四巻で、まさに精神病に防風通聖散を用いていました。
 
 
狂者,痰火实盛也。又云狂者,狂乱而无正定也。防风通圣散,治一切大风癫狂之疾
 
 
 
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