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オステオパシー

2022年10月14日カナダの名門マギル大学「科学と社会のオフィス」
「オステオパシーは科学が手を貸すことが必要です」
Osteopathy Needs Science to Lend a Hand

 

カナダの名門マギル大学は12名のノーベル賞受賞者を輩出しています。

以下、引用。

毎年、わたしはオタワ大学に疑似科学について科学コミュニケーターとして招かれ、講義をする。わたしは学生に、科学と疑似科学に明確な境界線は存在せず、むしろ連続体であることを泥まみれのサンプルを具体例として講義する。

科学哲学では「科学と疑似科学の境界は何か」を問題とします。「境界設定問題」「線引き問題」と呼ばれます。1990年代から2000年代に科学哲学を学んだ人なら、誰でも「線引き問題」の答えを知っています。現代の科学哲学が到達した結論は「科学と疑似科学を分ける明確な基準は存在しない」ということです。東洋医学を真摯に研究しようとする方は知っておいたほうが良い知識だと思います。

 

この記事の著者は、自身の腰痛がオステオパシーの手技で緩和した経験も書きながら、非常に公平に書いていると感じました。

 

以下、引用。

オステオパシーには奇妙な子ども(流派)がある。1980年代にフランスのオステオパス医師が内臓オステオパシーの概念を思いつく。

フランスのジャン・ピエール・バラルは、1974年にイギリスのヨーロッパ・オステオパシー学校を卒業し、1980年代に内臓マニュピュレーションを提唱しました。

 

以下、引用。

研究者グループは 2018 年に科学文献をくまなく調べた。内臓オステオパシーの診断と治療の正確性がテストさした。著者らは「内臓オステオパシーの技術の信頼性と有効性について、適切に実施された健全な証拠は存在しない」と結論付けている。

2018年2月17日
「内臓オステオパシーの診断と効果の信頼性:システマティックレビュー」
Reliability of diagnosis and clinical efficacy of visceral osteopathy: a systematic review
Albin Guillaud et al.
BMC Complementary and Alternative Medicine volume 18, Article number: 65 (2018)

 

著者は次に頭蓋仙骨オステオパシーと呼ばれるクラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)を検討します。オステオパシーの創始者、アンドリュー・テイラー・スティルの直弟子、ウイリアム・ガーナー・サザーランドが1930年代に始めました。それを1970年代にオステオパシー医師のジョン・アプレジャーがまとめたものです。

 

以下、引用。

次に頭蓋仙骨オステオパシーがある。

内臓オステオパシーに関する文献を調査した同じグループは、その頭蓋仙骨についてその診断手順は信頼できず、それが機能しているという良い証拠はほとんど存在しないと結論付けた。

2016年12月9日『プロスワン』
「頭蓋オステオパシーの診断と効果の信頼性:システマティックレビュー」
Reliability of Diagnosis and Clinical Efficacy of Cranial Osteopathy: A Systematic Review
Albin Guillaud et al.
PLOS ONE Published: December 9, 2016

 

オステオパシーの科学化の障害になっているのは盲検化、つまり、プラセボ手技をつくるのが難しいのは鍼灸に似ています。

以下、引用。

その長い歴史にもかかわらず、オステオパシーが科学の経験的なレンズを通して見られるようになったのはごく最近のことであり、ほとんどない。1966 年から 2018 年までの文献を調べたところ、わずか 389 件の論文が発見されたが、その 3 分の 1 以上は単なる症例報告であり、価値は非常に限られていた。

科学のレンズを通じて代替医療を観察してきたエッアート・エルンスト教授が指摘するのは、腰痛へのオステオパシーの効果の研究は、ただ1人の研究者に大きく依存していることである。

2016年4月25日エルンスト
「オステオパシー再訪」
Osteopathy revisited
Published Monday 25 April 2016

腰痛のオステオパシー研究のほとんどは、ノーステキサス大学オステオパシーセンターのJohn C Licciardoneという、ただ1人の研究者に依存している。

 

いちばんおもしろかったのは、以下の記述です。

以下、引用。

興味深いことに、アメリカのオステオパシー医師は、患者に徒手手技を使っていないと言っていることだ。

2021年1月29日『オステオパシー医学雑誌』
「アメリカのオステオパシー医師におけるオステオパシー手技の使用」
Osteopathic manipulative treatment (OMT) use among osteopathic physicians in the United States
De Gruyter
Journal Journal of Osteopathic Medicine
Published January 29, 2021

アメリカのオステオパシー医師たちが「オステオパシー手技を使わなくなっている」ことはウスウス気づいていましたが、これだけハッキリ書いてあるのは初めて見ました。

 

 

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