MENU

JAMA掲載 アメリカ退役軍人省による鍼のエビデンス・マップ

2022年11月23日『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』
『成人の健康コンディションへの鍼の使用:2013年から2022年システマティックレビュー』
Use of Acupuncture for Adult Health Conditions, 2013 to 2021
A Systematic Review
Jennifer Allen,et al.
JAMA Netw Open. 2022;5(11):e2243665.

 

2014年にアメリカ退役軍人省は『鍼のエビデンス・マップ』を出版しました。

2014年 アメリカ退役軍人省
Evidence Map of Acupuncture
Department of Veterans Affairs (US); 2014 Jan.

この出版からアメリカの鍼の世界は激変しました。

以下、引用。

アメリカ退役軍人省は、2012年までに出版された鍼のシステマティックレビューから2014年に鍼のエビデンスマップを作った。

2012年までに出版された論文のレビューであるため時代遅れになっており、新しいエビデンスのため、アメリカ退役軍人省の政策立案者は2012年以降の新しいエビデンスマップを要求した。「成人の健康コンディションに対するシステマティックレビューのエビデンスの確実性とは何か」

1991年、ゴードン・ガイアットが、論文「エビデンス・ベースド・メディスン」を書きました。1992年にコクラン共同計画が発足し、いまから30年前にEBМの時代が始まりました。

1997年11月、米国立衛生研究所が鍼の効果には科学的根拠があり、保険支払いをすべきであるという声明を行いました。

2000年代、ドイツではクラウディア・ウィットが指揮をとり、ドイツ鍼大規模臨床試験(GERAC)で数千人単位の大規模臨床試験を行い、その結果を受けて2006年4月からドイツでは腰痛や膝痛などの痛みに対して保険が支払われるようになりました。

2014年1月、米退役軍人省は鍼のエビデンス・マップを発表しました。

2014年2月、米退役軍人省はオピオイド・セーフティ・イニシアティブという麻薬の過剰処方を減らすために、鍼・ヨガ・瞑想・カイロプラクティックなどの代替補完医療を活用する戦略を発表しました。

2018年1月、米退役軍人省は代替医療によるオピオイド処方率減少を報告します。ここから激変がはじまります。

2018年2月、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、オレゴン州、ロードアイランド州の鍼の保険適応が報道されます。同年3月にコネチカット州、7月にテネシー州、9月にデラウェア州とニュージャージー州の鍼の保険適応が報道されます。

2019年3月、ニューハンプシャー州が耳鍼を推奨し、ウエストヴァージニア州が保険を適応しました。同年4月にはミズーリ州、オレゴン州、フロリダ州の保険適応が報道されました。

2020年12月、ルイジアナ州で鍼に保険が適応されました。
2020年1月、アメリカの公的保険メディケアは、オピオイド薬物療法の代替として慢性腰痛を治療する場合のみ鍼をカバーするとしました。

 

2017年2月13日、米内科医師会が世界五大医学雑誌である『アナルス・オブ・インターナル・メディスン』に腰痛ガイドラインを発表しました。

2020年8月3日、英国国立医療技術評価機構が、慢性疼痛ガイドラインの草稿で鍼を推奨することを発表しました。 

2022年8月、イタリア国立衛生研究所の国家ガイドラインシステムで慢性疼痛への鍼が推奨されました。

2022年9月22日、乳がんを治療するアロマターゼ阻害薬を使用する患者の関節痛を和らげるのに医師は鍼を推奨すべきであると、米臨床腫瘍学会と米統合腫瘍学会の新しいガイドラインに記載されました。

2022年11月、米退役軍人省はふたたび鍼のエビデンス・マップを発表しましたが、この内容には個人的には臨床的実感との乖離や違和感が多く、疑問点があります。

 

写真の説明はありません。

 

 

 

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次