【BOOK】『医学のあゆみ』「ミクログリアにおけるオキシトシンの病態的役割」

 
2023年7月
「ミクログリアにおけるオキシトシンの病態的役割」
前島裕子
『医学のあゆみ』 Volume 286, Issue 2, 138 – 141 (2023)
 
 
近年、多数の精神疾患・ストレスにおける病態機序としてミクログリアと脳内炎症の関係が注目されている.ミクログリアは脳内の免疫細胞であり,炎症反応のみならず,脳の発達過程におけるシナプスの刈り込み,神経回路の構築,メンテナンス,不要シナプスや死細胞の除去などを介して脳内の恒常性を維持する役割を果たす.
 
一方,オキシトシンは近年,抗肥満作用や向社会行動,自閉症症状や統合失調症の改善,不安やストレス反応の緩和などで注目されている神経ペプチドである.そのオキシトシンの受容体がミクログリアに発現しており,抗炎症作用を示すことが報告されている.さらに筆者らは最近,オキシトシンそのものがヒトおよびマウスのミクログリアに発現していることを報告した.本稿では,ミクログリアに対するオキシトシンの作用および精神疾患との関係について紹介する.
 
 
引用の赤色部分が衝撃的です。オキシトシンを経鼻投与すると炎症が抑制されます。
上記論文「ミクログリアにおけるオキシトシンの病態的役割」の「おわりに」に以下の記述があります。
 
 
以下、引用。
重要なことは、中枢と末梢の炎症は双方向であることであり、末梢の炎症は中枢炎症を、中枢炎症は末梢炎症を引き起こす。
心身一如、すなわち心と身体は互いに影響しあうという意味合いの東洋医学の言葉のとおり、炎症という要因も心と体をつなぐ役割を果たしていると考えられる。オキシトシンはマクロファージおよびミクログリアにおいて抗炎症作用を示すことが近年明らかになっており、炎症を基軸とする多くの心と身体の疾患への改善に対する有用性に期待が高まっている。
 
まさに、鍼灸が扱っている慢性疼痛の炎症はうつ病などを引き起こしますし、うつ状態の脳内の炎症は慢性疼痛を引き起こしやすいです。
 
そして、論文著者である福島県立医科大学医学部の前島裕子准教授は、加味帰脾湯とオキシトシンの研究者です。
 
 
2019年「加味帰脾湯による脳視床下部オキシトシンニューロンに対する作用」
前島裕子, 堀田彰一朗, 下村健寿
『日本東洋心身医学研究』 34(1/2): 16-19, 2019.
2023年3月5日「加味帰脾湯はオキシトシン欠損マウスが示す向社会性行動異常を改善する」
前島裕子 et al.
『日本農芸化学会大会講演要旨集』
 
 

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