小児推拿の「推法」です。
本来の推拿の推法は一指禅推とは全く違う手技です。
歴史的な推拿と少林寺由来の上海の一指禅推拿は歴史的に全く別系統の医学だと思います。
【推拿の歴史】
もともと『黄帝内経』には「導引按キョウ」という言葉があり、隋唐時代には医博士・鍼博士・按摩博士という役職もありました。唐代の『備急千金要方』にも「波羅門按摩法」の記載があります。宋代の『聖済総録』にも「按摩」の記載があり、摩は補法で、按は瀉法と書かれています。
■1600年代に中国で小児推拿・小児按摩が生まれる
子どもは経絡が未完成なので、小児推拿では小児推拿独自のツボやゾーンを治療に用います。この小児推拿から推拿が生まれました。
1750年、陳復正著『幼幼集成』で「小児は臓腑が未完成で薬物を多く受けることができない」として、按摩や温湿布、薬物貼付や刮さなどを小児向けの治療法として提唱しています。
1601年、『鍼灸大成』に収録された「陳氏小児按摩経」は現存する最古の小児按摩専門書です。
また、1604年、龔雲林(きょううんりん)の『小児推拿秘旨』は最初に「推拿」という言葉を使っています。
1605年、周于番(しゅううばん)の『小児推拿秘訣』も出版されています。
1670年代に熊運英(ゆううんえい)の『小児推拿広意』、1843年周松齢(しょうしゅうれい)の『小児推拿撮要』、1889年の張振鋆(ちょうしんきん)の『厘正按摩要術』などが出版されています。
これらの小児推拿はいずれも物凄くソフトな手技です。
小児推拿を研究することで「按」「摩」「擦」「揉」「揑」「推」「拿」などの手技が理解できてきました。超ソフト手技の「推法」や「拿法」が特徴的であり、按摩から小児のための推拿という名前になりました。
以下の2008年の筑波大学の宋宇先生の推拿の現状の紹介を読むと、「推拿には系統だった統一理論は存在しないので多くの流派が誕生した。100以上の流派が存在する」とのことです。
「中国における針灸・推拿の現状」
宋 宇,殿山 希,形井秀一
『国立大学法人筑波技術大学テクノレポート』 15, 177-180, 2008
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