「舌苔と気血水及び脾胃の失調病態との関連性について」
嶋田 豊, 古田 一史, 柴原 直利, 高橋 宏三, 寺澤 捷年
『日本東洋医学雑誌』1995 年 45 巻 4 号 p. 841-847
この論文では寺澤捷年先生の「気虚スコア」「気欝スコア」「気逆スコア」「血虚スコア」「瘀血スコア」「水毒スコア」があり、臨床的に非常に参考になります。某大学で「気血津液弁証」を講義した際には『症例から学ぶ和漢診療学』をテキストにして、これらのスコアを使って教えたことがあります。
日本漢方でも江戸時代の吉益南涯先生が「気血水」を論じています。
世界保健機構(WHO)のICD-11の弁証論治では、気血津液弁証は“Body constituents patterns(身体成分パターン)”と表現されています。
【気病】 Qi patterns(気パターン)
(1)「気虚証」=Qi deficiency pattern(気虚パターン)
(2)「気滞証」=Qi stagnation pattern(気滞パターン)
(3)「気逆証」=Qi uprising pattern(気逆パターン)
(4)「気陥証」=Qi sinking pattern(気陥パターン)
(5)「気脱証」=Qi collapse pattern(気脱パターン)
【血病】 Blood patterns(血パターン)
(1)「血虚」=Blood deficiency pattern(血虚パターン)
(2)「血瘀」=Blood stasis pattern(血瘀パターン)
(3)「血熱」 =Blood heat pattern(血熱パターン)
(4)「血寒」=Blood cold pattern(血寒パターン)
(5)「血燥」=Blood dryness pattern(血燥パターン)
【津液病・痰病】 Fluid patterns(津液=体液パターン)
(1)「津液虧虚証」=Fluid deficiency pattern(津液虚パターン)
(2)「水湿内停証」=Fluid disturbance pattern(体液妨害パターン)
(3)「燥痰証」=Dry-phlegm pattern(燥痰パターン)
(4)「湿痰証」=Damp phlegm pattern(湿痰パターン)
(5)「痰火擾心」=Phlegm-fire harassing the heart system pattern(痰火擾心パターン)
(6)「風痰証」=Wind-phlegm pattern(風痰パターン)
特に痰病は煩雑すぎて説明できないし、鍼灸臨床で使えないものが多過ぎます。もう少しシンプルにできなかったのでしょうか。痰火擾心は心の臓腑弁証ではないのでしょうか。
血瘀証、または瘀血はICD-11では以下になります。
暗い顔色、局所は青紫で塊があり、疼痛は固定性で、出血では黒い血や暗い色の血塊がある。紫舌または紫斑が舌にあり、唇は紫色で脈は硬く結代がある。
この血瘀証の概念は鍼灸師が臨床で診る瘀血とは微妙にズレがあると思います。交通事故などの古傷は瘀血だと思いますが、紫舌や渋脈になったりしないです。脈舌に反映しないです。
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