1973年、山東大学の張穎清先生は第2掌骨側診法、つまり「合谷周辺の第2中手骨に全身が投影されている」 理論を発表しました。 張先生は生物全息理論の創始者であり、ECIWO鍼 (ECIWO:Embryo Contains Information of the Whole Organism 胚は全ての組織の情報を含んでいる)として世界中に広まっています。
第2掌骨側診法の日本語参考文献は1冊しかありません。
『ツボ診断法』
盖 国才 著、 杉充胤訳
医道の日本社 (1984/04)
私は2000年代にギックリ腰になった際に第2掌骨側診法の移動合谷で治療していただいたことがあります。仰臥位で第2中手骨で「腰」に対応した移動合谷に刺鍼し、臍を天井につきだすように上げてドスンと落とすのを繰りかえしたらギックリ腰が治り、次の日に学会発表ができました。
ロシア鍼灸のЭКИВО鍼、‘ECIWO in Russia’を主催されているクズマ・ゴンチュルク先生とエルザ・ゴンチュルク先生は「鍼と磁気療法」という文献も2011年にロシアで出版されています。磁気療法に関しては、アメリカは正式な医学として認めていませんが、ロシアでは磁気療法が正統的な医学と認められているようです。
クズマ・ゴンチュルク先生は、2001年6月17日のICMRT(International Council of Medical Acupuncture and Related Techniques)のマイクロシステム・シンポジウムで、山元敏勝先生とともにECIWOについて講演して一緒に写真も写っています。
もともと1950年代にフランスのポール・ノジェが創りだした耳鍼療法(=耳介療法)こそが、最初にソマトトピィ体部位再現をアイディアとして提唱しました。だから、ノジェの耳鍼マップには外胚葉・中胚葉・内胚葉があります。
1971年に中国の焦順発先生が開発した頭鍼は、神経外科医だった焦順発先生が脳の機能局在から創ったメディカル・アキュパンクチャーです。山元敏勝先生は焦氏頭皮鍼を追試するなかでYNSA(Yamamoto New Scalp Acupuncture)を開発されました。
1972年12月、上海人民衛生出版社より「耳針」が出版されます。中国式耳鍼はフランス式のフェーズ1に相当します。
1973年、张颖清先生が第2掌骨側診法(合谷周辺の第2中手骨に全身が投影されているという理論)を開発し、「生物全息诊疗」で発表しました。
1971年に韓国の柳泰佑先生が開発した高麗手指鍼、1970年代に劉金栄先生が開発した口鍼、1970年代に彭静山先生が開発した眼鍼、1970年代に上海にある第2軍医大学の张心曙教授が開発した腕踝鍼などが代表的な微鍼(マイクロアキュパンクチャー)です。
個人的には落枕や腰痛点など、中国式手鍼療法と高麗手指鍼を併用して愛用していますが、中国の文献を調べても1960年代に開発されたという記述はありますが、誰が見つけたかわからないです。中国の文献では『常用新医疗法手册』が初出とされています。日本では、1972年、小林良英先生の『中国の新しい治療点 : 手針穴・耳針穴・新穴・奇穴の図表解とその臨床の実際』(小林良導絡研究所)と、和田清吉先生の1973年『手鍼法』が確認できました。
和田 清吉『手鍼法』日本鍼灸良導絡医学会誌
1973 年 2 巻 4 号 p. 15-16
張穎清先生について調べていると、中国では偽科学扱いとなり禁書とされているようで、本当に残念なことです。
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