『サイエンス・デイリー』2000年12月21日
「NASAの宇宙テクノロジーは癒しの分野に光を照らす」
NASA Space Technology Shines Light On Healing
以下、引用。
ミルウォーキーのウィスコンシン医科大学の医師たちは、NASAスペースシャトルのために発達したテクノロジーの助けによって光のヒーリングパワーを発見した。パワフルなダイオードやLEDの放射光は宇宙での商業植物の成長を促す。科学者たちは地球上の患者でもそれを発見した。医師たちはこの宇宙の光テクノロジーをいかにして糖尿病患者の皮膚の潰瘍や深刻なヤケドや化学療法や放射線療法によって起こった深刻な口内炎の治療に応用できるかを実験している。
NASAの設立した研究所のドクター・ウィーランは既に光治療によってがんの放射線・化学療法による口腔潰瘍の痛みを癒すことに眼を見張るような結果を残している。その治療は早く痛みがない。
創傷治癒治療の応用版の研究として、ウィーランは海軍特殊部隊の医務官としてカリフォルニア州、サンディエゴとノーフォークの海軍特殊部隊コマンドの医師たちと一緒に働いた。彼らは筋肉骨格系の創傷を持った患者を光ダイオードの放射光で治療して40パーセントで治癒が促進されたと報告している。
光線療法は、医学的にはデンマークの医師、ニールス・リーベング・フィンゼンが皮膚結核である尋常性狼瘡を治療するのに日光治療法を創案して始まり、フィンゼンはこの業績で1903年にノーベル医学賞を受賞しました。そして、フィンゼンは日光と同じような作用のあるカーボンアーク灯(フィンゼン灯)を発明しました。
さらに1918年、イギリスの医師フィンドレーが栄養を与えても日光に浴びさせないとくる病になることを発見し、1938年に日光が皮膚にあたるとビタミンDが合成されることを証明しました。この時期は紫外線灯が用いられました。
1958年にクレーマーが試験官内でビリルビンに光を当てると分解しやすいことから、新生児黄疸の光線療法を始めました。最初は新生児に日光を浴びせていました。1968年にルーシーが臨床試験によって新生児黄疸の光線療法の効果を証明しました。
各科からみた小疾患
1.新生高ビリルビン血症の光線療法
山城雄一郎
1980年代に医師ノーマン・ローゼンタールは冬にだけうつ病になる季節性うつ病、季節性感情障害を発見し、高照度光療法で治療しました。
また、皮膚科では乾癬に紫外線のUVB phototherapyという光線療法が用いられます。これは紫外線が免疫を抑制するためです。一番驚いたのは、イギリスで一番使われている成人の中等度-重度アトピー性湿疹の治療法は46パーセントが光線療法PUVAだったことです。ステロイド剤中心の日本と大違いです。PUVA光線療法は聞いたことがある方のほうが少ないのではないでしょうか。
2016年12月11日『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・デルマトロジー(イギリス皮膚科雑誌)』
「成人の中程度から重症のアトピー湿疹(アトピー性皮膚炎)のイギリスにおける治療:皮膚科全国調査の結果」
Treatment of moderate-to-severe atopic eczema in adults within the UK: results of a national survey of dermatologists
K. Taylor,
British Journal of Dermatology
11 December 2016
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27943248
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjd.15235/full
ソラレンという物質を患部に塗るか内服させて、患部に紫外線Aを照射して日焼けを起こさせる治療法です。ラングハンス細胞などの免疫細胞を抑制します。アトピー性皮膚炎に対して紫外線療法が効果があるのは、実は殺菌作用ではないかという学説もあります。同じ西洋医学なのに日本ではステロイド療法で、イギリスでは光線療法PUVAです。
「光線療法の奏効機序 特に光免疫学的機序について」
堀尾 武 『皮膚』Vol. 39 (1997) No. 3 P 218-224
https://www.jstage.jst.go.jp/…/skinresea…/39/3/39_3_218/_pdf
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