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ライム病の鍼灸治療

 

2019年3月31日『BUSTLE』
「専門家によるライム病の9つのナチュラル・トリートメント」
9 Natural Treatments For Lyme Disease, According To Experts

 

以下、引用。

ライム病へのいくつかの自然療法があり、それは標準的な抗生物質治療治療に失敗している患者さんを助けることができるかもしれない。

【第1選択枝:鍼】
鍼は、疼痛、不眠、不安などライム病の患者さんが経験する症状を助けることを示しているとドクター・レイアマンは述べている。それはライム病を取り除くのを助けるかもしれないし、いくつかの研究では鍼は免疫システムを強化できる。

 

うつや慢性痛には全身の炎症や脳の炎症が関係しています。

アメリカではダニが媒介するスピロヘータのライム病があり、最近では、歌手のアブリル・ラヴィーンが関節痛と疲労倦怠感に苦しんで休業していました。ライム病も慢性関節痛を引き起こします。ニューヨークでライム病は多く、ニューヨークの鍼灸師がライム病後遺症を治療しているのは何度も読んだことがあります。ニューヨークの大村恵明先生は、何度かライム病の鍼灸治療を語られていました。

 

日本でもライム病は起こっていますが、まったく知られていません。わたしは講義で「おそらく、日本でもライム病患者さんを慢性疲労症候群と誤診している例がたくさんあります」とよく話していますが、2013年に神戸大学医学部の岩田健太郎先生が、慢性疲労症候群と誤診されている例で1年かけてライム病と判明した症例を発表されていました。症状は慢性疲労と関節痛なので、鍼の外来に来る可能性は高いと思います。

2013年「感染症内科外来で診断に 1 年以上を要したライム病の 1 例」
岩田 健太郎
『感染症学雑誌』Vol. 87 (2013) No. 1 p. 44-48
https://www.jstage.jst.go.jp/…/kansenshogak…/87/1/87_44/_pdf

 

2015年2月に慢性疲労症候群(CFS)がSEID(Systemic Exertion Intolerance Disease:全身性労作不耐疾患)という病名に変更されました。

 

2016年5月に『神経治療学』に発表された以下の論文は総合的な理解に役立ちます。

2016年5月に公開された論文
「慢性疲労症候群の病態機序とその治療」
渡邊 恭良, 倉恒 弘彦『神経治療学』Vol. 33 (2016) No. 1 p. 40-45
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/1/33_40/_pdf

 

 

2010年代の研究で慢性疲労症候群患者がミクログリア細胞の活性化により、脳内で炎症を起こしていることが明らかになってきました。視床・中脳・扁桃体での炎症が強いと認知機能障害を起こします。帯状回や視床の炎症が強いと頭痛や筋肉痛を起こします。海馬の炎症が強いと抑うつ症状を起こします。

 

ミクログリア細胞が活性化され、神経炎症が起こると、思考力や集中力の低下や認知機能低下が起こります。また、前帯状回、眼窩前頭野などの脳血液流量低下も起こります。これらは全て鍼灸が作用しているところです。慢性疲労症候群では神経炎症が起こり、認知機能障害・全身の筋肉痛・抑うつ症状を起こしています。

 

さらに注目されるのは、C型肝炎患者さんが起こす認知機能低下や抑うつ症状であるC型肝炎による認知精神障害が慢性肝炎の患者さんの50パーセント近くにおきていることです。

「C型肝炎関連・神経認知的および神経精神的な障害:2015年の進歩」
Hepatitis C virus-associated neurocognitive and neuropsychiatric disorders: Advances in 2015.
Monaco S
World J Gastroenterol. 2015 Nov 14;21(42):11974-83. doi: 10.3748/wjg.v21.i42.11974.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4641119/

 

NIHアメリカ国立衛生研究所でC型肝炎を研究したミシガン大学医学部のフレッド・アスカリ医師の本に「C型肝炎患者が関節痛と疲労倦怠感に苦しむのはウイルスによる症状である」と書かれていて驚いたことがあります。

 

C型肝炎―沈黙の感染症
フレッド・K. アスカリ
青土社 (2002/07)

 

インフルエンザの関節痛にも鍼は効く実感があります。インフルエンザ流行の後も慢性疲労症候群そっくりの症状が起こります。2015年、インフルエンザが流行すると慢性疲労症候群の発病率が2倍以上になるというノルウェーの論文が発表されました。

Chronic fatigue syndrome/myalgic encephalomyelitis (CFS/ME) is associated with pandemic influenza infection, but not with an adjuvanted pandemic influenza vaccine.
Vaccine. 2015 Nov 17;33(46):6173-7. doi: 10.1016/j.vaccine.2015.10.018. Epub 2015 Oct 17.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26475444

 

感染症のあとの免疫反応によって、ミクログリア細胞の活性化により脳内に炎症が起こることで集中力の低下、記憶力の低下、全身の関節痛と倦怠感が起こっているようです。

2016年11月には臨床研究として『ネーチャー・サイエンティフィック・リポーツ』にオーストリアのゲルハルト・リッシャー先生が、45人の慢性疲労症候群の患者に対して対照群15人、鍼治療群15人、灸治療群15人で治療したところ、鍼と灸で疲労度の改善度があったが灸のほうがより改善度が高く、長期的効果があったという論文を発表されました。個人的にも疲労症状にはお灸を加えたほうが効果が良いと感じています。

 

「疲労における自律神経システム調整の鍼と灸の違い:パイロット比較試験」
Acupuncture and Moxibustion have Different Effects on Fatigue by Regulating the Autonomic Nervous System: A Pilot Controlled Clinical Trial
Qing Shu、Gerhard Litscher et al.
Scientific Reports 6, Article number: 37846 (2016)
Published online:25 November 2016
https://www.nature.com/articles/srep37846

 

 

【参考文献】
※1:2008年 「中国における慢性疲労症候群の鍼灸治療のシステマティックレビュー」
A systematic review of acupuncture and moxibustion treatment for chronic fatigue syndrome in China.
Am J Chin Med. 2008;36(1):1–24. doi: 10.1142/S0192415X08005540.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18306446

 

※2:2011年「慢性疲労症候群患者への補完代替医療:システマティックレビュー」
Complementary and alternative medicine for patients with chronic fatigue syndrome: a systematic review.
BMC Complement Altern Med. 2011;11:87. doi: 10.1186/1472-6882-11-87.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21982120

 

※3:2014年「慢性疲労症候群への中医学:システマティックレビューとランダム化比較試験」
Traditional Chinese medicine for chronic fatigue syndrome: a systematic review of randomized clinical trials.
Complement Ther Med. 2014;22(4):826–33. doi: 10.1016/j.ctim.2014.06.004.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25146086

 

 

 

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