新型コロナウイルス:JAМA論文の情報

 

2020年2月13日『メディカルトリビューン』
「武漢の患者41%が院内感染の可能性ー新型コロナウイルス肺炎患者138例の検討」

 

以下、引用。

138例のうち40例(29.0%)が医療従事者、17例(12.3%)はCOVID-19以外の入院患者で、感染経路として院内感染が疑われた。発症時の症状は、発熱136例(98.6%)、疲労感96例(69.6%)、乾性咳嗽82例(59.4%)などが認められた。ただ、ほとんどの患者が初期に下痢や嘔吐などの非定型症状を呈していた。

同氏らは「初期段階の下痢や嘔吐などの非定型症状はヒト-ヒト感染が急激に広がったことに関連している可能性が示唆される。2019-nCoVは密接な接触者間での急速なヒト-ヒト感染が特徴だ」としている。

 

2020年2月7日『アメリカ医師会雑誌(JAМA)』
「中国、武漢での2019年新型コロナウイルス肺炎感染による138人の入院患者の臨床的特徴」
Clinical Characteristics of 138 Hospitalized Patients With 2019 Novel Coronavirus–Infected Pneumonia in Wuhan, China
Dawei Wang, MD et al.
JAMA. Published online February 7, 2020. doi:10.1001/jama.2020.1585
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2761044

この論文は、高品質な情報が多く、勉強になりました。

 

以下、引用。

138名の患者のうち57名(41.3%)が院内感染によるものだったと推測されている。

感染したヘルスケアワーカー医療従事者のうち、一般診療が31名(77.5%)、7名(17.5%)が救急救命部門、2名(5%)がICU集中治療室で感染した。

 

138名の入院患者のうち41.3%が院内感染であり、感染した医療従事者のうち一般診療の外来で77.5%という情報は貴重だと思います。一方でICU集中治療室は2名(5%)です。感染症防御のトレーニングを受けた医療スタッフはわずかしか感染していません。

 

一般病院や診療所、そこで働く医療スタッフを新型コロナウイルスから守ることを優先したほうが戦略的に優れていると思います。単純に考えて、院内感染を減らすだけで40パーセントも入院患者を減らせるのです。院内感染を減らすために一般診療受診を抑制する施策をとったほうが結果的に優れていると推測します。

 

以下、『メディカルトリビューン』記事からの引用。

【現時点で有効な治療法なし】
治療としては89.9%に抗ウイルス薬、多くに抗菌薬(モキシフロキサシン64.4%、セフトリアキソン24.6%、アジスロマイシン18.1%)、44.9%にメチルプレドニゾロンが投与されたが効果は認められなかった。Wang氏らは「現時点ではCOVID-19に対しては①感染源をコントロールする②感染リスクを減らすため個々で予防措置を行う③罹患患者の早期診断、隔離および支持療法を行うことしか手立てがない」と述べている。

 

抗ウイルス剤もステロイド剤も現時点では効果はありませんでした。効果的な治療は存在せず、最新の『アメリカ医師会雑誌(JAМA)』には「罹患患者の早期診断、隔離および支持療法を行うことしか手立てがない」と書かれていますが、何か見落としていませんか。患者さんたちを次々と治癒・退院させている某治療が中国語の新聞では報道されているのですが。

 

思い込みや偏見や知的な傲慢さがどれだけ自分の人生を損ねて、人間の可能性を狭くするのか、反面教師として学びたいと思います。個人的には、視野をより広げていきたいと心の底から思います。

 

 

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