ピーター・バルドリー『トリガーポイント鍼療法』305ページ
慢性腰痛を診察する際に、最後に患者を仰臥位にして腹壁前面および鼡径部のトリガーポイントを探すまではトリガーポイントの探索が完了したとは言えない。
鼡径靱帯の直下にある腸腰筋腱部にできたトリガーポイントからの関連痛は、脊柱直傍の溝に沿った痛みの原因になるし、場合によっては大腿の前面を下る痛みの原因になる。
触診は大腿骨の小転子から始めて鼡径部から腹筋の横まで触ることができます。押してお腹の奥や腰に放散します。
西洋医学の文献では、1979年にハーシュバークが腸腰筋症候群という概念を提唱しています(※1)。
※1:ハーシュバーグ「腰痛の一般的な原因としての腸腰筋症候群:診断と予後」
Iliolumbar syndrome as a common cause of low back pain: diagnosis and prognosis.
Hirschberg GG, Froetscher L, Naeim F
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation [1979, 60(9):415-419]
http://europepmc.org/abstract/med/159027
腸腰筋はスポーツ医学分野で話題の鼡径部痛症候群との関係も深いです。また、イギリスの鍼師マイク・カミングスは腸腰筋のトリガーポイント関連痛で膝痛が起こることを報告しています(※2)。
※2:「腸腰筋の電気鍼による膝の関連痛の治療」
Referred knee pain treated with electroacupuncture to iliopsoas.
Cummings M.
Acupunct Med. 2003 Jun;21(1-2):32-5.
http://acupmed.bmjjournals.com/content/21/1-2/32.full.pdf
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