耳穴:小腸、大腸、蘭尾、直腸

 

 

 

耳甲介舟(じこうかいしゅう) に耳穴「小腸(CO6)」「大腸(CO7) 」 「蘭尾(CO6、7i)が並んでいます。

耳穴「小腸」は消化不良、腹痛、動悸、不整脈を主治します。フランス式耳穴ではオメガ1と言われる内胚葉のマスターポイントになります。中国式耳穴「小腸」の主治に動悸・不整脈が入っているのは、中医学理論の心と小腸が表裏するためだと思われます。

耳穴を機能性胃腸症に使っている論文は複数ありました。腹痛に使った論文も複数ありました。

2006年「急性腹痛の病変部位と耳穴診断の相関性の研究」
急性腹痛病变定位与耳穴诊断相关性的研究
刘继洪 《广州中医药大学》 2006年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-2006104722.htm
http://mip.xueshudoc.com/p-2834746.html

 

耳穴「大腸」は 下痢、便秘、咳嗽、ニキビを主治します。耳穴「大腸」の主治に咳嗽が入っているのは肺臓と表裏しているからで、ニキビは皮膚病であり、肺と皮膚の関係だと思います。
耳穴で下痢の治療をしたものは複数ありました。

2007年「耳穴への磁球の貼布による胃腸機能紊乱型下痢50例の体験」
耳穴贴压磁珠治疗胃肠功能紊乱腹泻50例体会
蒲玉芳
《青海医药杂志》 2007年05期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-QHYZ200705062.htm

 

 

耳穴で便秘の治療をした論文も複数ありました。

2017年「耳穴による便秘の予防治療効果のシステマティックレビュー」
耳穴压豆防治便秘效果的系统评价
罗春梅 汪涓 陈宇 林玲 骆书兰 宋彩萍
《中国护理管理》 2017年04期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-GLHL201704030.htm

 

2010年には香港の大学も英語の論文を出していますが、研究の欠陥を指摘しています。

2010年「便秘マネージメントにおける耳介療法の補完的効果のレビュー」
A review on the complementary effects of auriculotherapy in managing constipation.
Li MK,et al.
J Altern Complement Med. 2010 Apr;16(4):435-47
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20423213

 

 

基礎研究として、以下は珍しいラットの耳穴の便秘の効果の研究です。やはり機序は迷走神経刺激です。

Ameliorating Effects of Auricular Electroacupuncture on Rectal Distention-Induced Gastric Dysrhythmias in Rats
Zhaohui Zhang
PLoS One. 2015; 10(2): e0114226.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4313944/

 

 

耳穴「蘭尾」の主治は、やはり虫垂炎です。虫垂炎に直接、使うのではなく、術後疼痛の予防と、外科手術後の胃腸のぜん動運動を高めて肛門から排ガスを促進する使い方でした。周術期鍼です。

耳穴埋豆促进阑尾炎术后肛门排气临床观察
项静 《现代中医药》 2013年01期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-XDZY201301035.htm

 

耳穴贴压对腹部手术患者术后疼痛干预的效果观察
唐秀琴 王芳 张海燕
《西部中医药》 2014年07期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-GSZY201407043.htm

 

 

もともとこの調査は耳甲介舟の耳介迷走神経刺激が炎症性腸疾患に有望そうなので過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎に対する研究の現況を調ベようと思って始めました。

 

中国のデータベースCNKIで「耳针 肠易激综合症」「耳穴 肠易激综合症」「耳针 克隆病」 「耳穴 克隆病」を検索しましたが、結果はゼロでした。「耳针 溃疡性结肠炎」の検索結果はイタリアの研究者の発表が1件がひっかかりました。

2000年「推拿灸法と耳鍼による潰瘍性大腸炎15例の治療」
推拿灸法和耳针治疗溃疡性结肠炎15例
Serena M Aldo L
Paracelso Institute Via I.Nievo,61-00153 Rome Italy
中国中医科学院针灸研究所 会议论文集2000-04

 

最後に「 耳穴  溃疡性结肠炎」 で検索すると、 よくわからないのですが、2010年代に入ってから19件の論文がありました。しかも、多くは角・徴・宮・商・羽の五音療法と耳穴貼布の組み合わせです。2つ以上の代替療法を組み合わせると、どれが効いているかわかりません。

 

2018年「五音療法と耳穴貼布の組み合わせによる潰瘍性大腸炎の焦慮抑うつの治療」
五音疗法配合耳穴贴压治疗溃疡性结肠炎伴焦虑抑郁
陈雅辉 单海燕 薄淑萍 《吉林中医药》 2018年07期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZYJL201807033.htm

 

 

中国式耳穴「直腸」は耳輪にあります。これはフランス式耳穴マップと大きく違います。フランス式耳穴マップでは「直腸」は耳甲介舟の中にあるからです。耳輪の内側になります。中国式耳穴「直腸」 の主治は便秘・下痢・脱肛・痔です。中国式耳穴「直腸」は 耳輪の中国式耳穴「肛門」と一緒に痔の手術後痛や脱肛に用いられていました。

2001年「耳穴圧による痔瘻手術後の止痛効果の観察」
耳穴压豆用于痔瘘手术的止痛效果观察
罗惠 程珊 《山东医药》 2001年16期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SDYY200116081.htm

 

1992年
耳穴贴压王不留行籽治疗肛门术后痛40例
周艳红 《黑龙江医药》 1992年12期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-HJYY199212016.htm
主穴:肛门、直肠下段,神门。

 

耳压疗法治疗小儿重度脱肛症临床探析
杨烈文 《陕西中医学院学报》 2005年05期

 

 

ラファエル・ノジェ先生は痔に対して視床下部、肝臓、交感神経、痔を用いています。ポール・ノジェ先生も痔点を重視されていました。

 

ラファエル・ノジェ先生は、便秘に対しては大腸、胆囊、視床下部を用いています。

 

臨床的には視床下部の取穴法を練習しておきたいと思います。

 

 

 

 

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