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室町時代の医書『医方大成』と熊宗立『医書大全』の関係

 

 
2021年5月19日『ドイツ・デジタル図書館』
 
 
つい最近、ドイツ・デジタル図書館にアップロードされた『南北経験医方大成』です。日本語でフリガナがふられています。
 
 
『医方大成』はモンゴル時代・元代の 孫允賢が1321年に著したと多くの文献に書かれています。しかし、小曾戸洋先生の『日本漢方典籍辞典』を確認して仰天しました。

 
 
以下、『日本漢方典籍辞典』45ページより引用。
 
また、元の孫允賢の著作とされるが、実際は日本人が明の熊宗立『医書大全』二四巻より医論の部分のみを抜粋して作ったもの。室町末期、吉田意安(宗桂)の手になると伝えられる。
 
 
 
知りませんでした。本当に衝撃を受けました。
 
吉田宗桂は室町時代12代将軍足利義晴の侍医で、1532年に明に渡り意庵と呼ばれて「吉田意安」と号しました。吉田宗桂の長男の角倉了以は豊臣秀吉・徳川家康から朱印をもらい、朱印船貿易をおこないました。角倉了以の長女は曲直瀬道三の養女となりました。
 
吉田宗桂の次男が吉田宗恂です。吉田宗恂は豊臣秀次に仕えました。吉田宗恂の孫娘の子どもが、なんと伊藤仁斎です。吉田宗恂は『歴代名医伝略』でも有名です。ベトナム朱印船貿易にも関わった名医、吉田宗恂は『医方大成論抄』も著しています。
 
元代の孫允賢の『医方大成』をもとに熊宗立の『医書大全』がつくられたと認識していました。実際は、熊宗立『医書大全』を抜粋したのが吉田宗桂の『医方大成』です。
 
井上恵理先生の『南北経験医方大成による病症論-井上恵理講義録 』が2008年に東洋はり医学会から出版されています。
 
 
「南北経験医方大成による病症論-井上恵理講義録」
東洋はり医学会編
東洋はり医学会広報部2008年10月
 
 
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