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過敏性腸症候群と弁証論治

 
2023年1月4日『ペイシェント・ケア』
「新研究によれば、鍼は利用可能で効果的な過敏性腸症候群の選択肢かもしれない」
 
 
以下、引用。
 
リューの研究チームは2つの伝統的な配穴を比較した。1つはSA治療で、もう1つはNSA治療とNA非ツボ治療である。
リューの研究チームは、初期の3グループの改善率を以下のように報告している。
 
SA特定穴治療:46.4パーセント
NSA非特定穴治療:46.7パーセント
NA非ツボ治療:26.7パーセント
 
4週目での改善は以下のとおり。
SA特定穴治療:64.3パーセント
NSA非特定穴治療:62.1パーセント
NA非ツボ治療:55.2パーセント
 
3グループの差異は統計的有意なエンドポイントに到達していない。
 
 
【SA特定穴治療:改善64.3パーセント】
天枢(ST25)、中かん(RN12)、関元(CV4)、足三里(ST36)、上巨虚(ST37)で、肝鬱脾虚なら太衝(LR3)、脾虚湿盛なら三陰交(SP36)、脾胃湿熱なら内庭(ST44)などを加えた。
 
【NSA非=特定穴治療:改善62.1パーセント】
水分(CV9)、梁門(ST21)、陰交(CV7)、条口(ST38)、、陰市(ST33)、漏谷(SP7)、陰包(LR9)
 
【NA非ツボ治療:55.2パーセント】
非ツボ1:上前腸骨棘上2寸
非ツボ2:臍の上2寸、正中線から1寸
非ツボ3:陽陵泉の下3寸
非ツボ4:内果の上2寸、脛骨の中央
非ツボ5:丘墟と解渓の間
 
 
SA特定穴とNSA非特定穴は得気し、NA非ツボは得気していません。それが初期治療の結果に影響した印象があります。
 
これは北京中医薬大学の研究です。
 
過敏性腸症候群は催眠に効果が認められており、プラセボ効果の割合が高い疾患です。
さらに言えば、ドイツのクラウディア・ウィット先生が2013年に行った腰痛の研究があります。
 
50人の外来の慢性腰痛患者を2グループにランダムに割付け、78人の標準鍼グループ、72人の弁証論治の鍼グループに分けて効果を比較しました。標準鍼は15年以上の臨床経験のある中医師が決めた腎兪(BL23)、気海兪(BL24)、大腸兪(BL25)と委中(BL40)、崑崙(BL60)、陽陵泉(GB34)、太溪(KI3)の配穴。弁証論治の鍼は脈診・舌診をして(標準鍼もプラセボを防ぐために舌診・脈診を行う)、各治療前の証の診断に基づき治療されましたが、まったく効果に差異はありませんでした。
 
 
2013年「慢性腰痛への標準鍼VS弁証論治の鍼:ランダム化比較試験」
Standardized versus Individualized Acupuncture for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
Claudia M. Witt
Evid Based Complement Alternat Med. 2013; 2013: 125937.
Published online 2013 Oct 28.
 
 
過敏性腸症候群に対して鍼は効果があります。しかし、弁証論治やツボを使う必要性は科学的には「わからない」というのが現状だと思います。
 
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